中国発改委がクアルコムに約1,200億円の罰金支払命令、小米、魅族(アリババ)、OPPOは笑えない結果に

中国の国家発展改革委員会(行政機関の最高峰)が米国通信機器大手のクアルコムに対して独占禁止法違反の指導を行い、罰金とその他の法的措置を適用し、クアルコムもそれに従うことを発表しました。その結果は、華為(ファーウェイ)、中興(ZTE)、酷派(Coolpad)やLenovo、そして急成長中の小米やOPPOに対して直接的、間接的に大きな影響を与えることになりそうです。まずは、中国新聞網の記事をご覧ください。

 


クアルコムの特許モデルが崩壊 中国モバイルメーカーの特許戦争開始(中国新聞網)

クアルコムには約60億元の罰金、但し業績に対する影響は限定的 

昨日、中国国家発展改革委員会(発改委:国務院所属の統括的行政機関)は14ヶ月の調査の結果、クアルコムに対して市場の地位乱用と、非常に狭い参入障壁の排除を目的に法的処置に入りました。具体的にはクアルコムに対して、関連する違法行為の取りやめと、約60億元(約1,200億円)の支払いを命じた。

クアルコムの最新の財務諸表によると、2014年の売上高は約265億ドル、営業利益は75.5億ドル、純利益が79.9億ドル(30%)であった。今回の約60億元の罰金は、2013年のクラルコムの市場販売額の8%に当たり、売上高の3.67%に当たる

この罰則の適用以外に、クアルコムは中国国内で使用もしくは販売される携帯電話の卸売価格の差分における65%として設定している特許ロイヤリティの割合を、35%まで下げることを受け入れた。クアルコムのDerek Aberle総裁は「この結果により中国市場における権利料率は世界のレベルと同じ水準となる」と言う。

携帯電話中国連盟の秘書長である王艶輝曰く、「約60億元の罰金はクアルコムに対して短期的には影響を及ぼすだろう。更に特許ロイヤリティ率を35%まで下げることを受け入れた。彼らの中国市場における特許ロイヤリティによる収入は毎年2〜3億ドルである。クアルコムの全体の売上高から言えば、今回の処罰の影響は大きいとは言えない」。

Qualcomm クアルコム

クアルコムのコアとなるビジネスモデルは変革を迫られ、国内のモバイルメーカーは特許争いに突入するだろう

今回発改委が公布したクアルコムに対する調査結果に対し、業界専門家はこの調査結果における意義は罰金ではなく、一連の法的な是正措置にあるとのこと。この調査では、クアルコムは罰金の徴収と特許ロイヤリティ率の調整の他に、中国企業がクロスライセンスした特許についても無料で使用を許可することを認めた

過去から今まで、クアルコムは2G, 3G, 更に4G方式で「標準的に必須となる特許」を1,400も掌握。主流のモバイルメーカーであるApple、Samsung、中興(ZTE)、華為(ファーウェイ)などは、端末のチップに対するクアルコムの特許を大量に使用している。モバイルメーカーは携帯電話1台を生産するたびに、5%の特許料をクアルコムに支払う必要があり、業界では「クアルコム税」と呼ばれていた。クアルコムは更にモバイルメーカーと「クロスライセンス」契約を締結し、モバイルメーカーがクアルコムのチップを使用する場合には必ずクアルコムに対して使用している特許を提供する必要があった。その、クアルコムに提供した特許については、いかなる顧客からも特許料を請求できない条件だった。これは、モバイルメーカー自身の特許価値は常にゼロであるということを意味する。今回、クアルコムはこの権利を手放すことを承諾、全世界で20年余り変わってこなかった特許料聴取の構造が変わり、国内モバイルメーカーにとっては特許を巡る競争が始まったことを意味する。

今回クアルコムが是正措置を受け入れたことによる化学反応について、王艶輝曰く「クアルコムに対する調査の結果として、中国国内のモバイルメーカーは特許についての障壁が無くなったことを意味する。中国国内において比較的多くの特許を保有するファーウェイ、ZTE、Lenovoなどはクアルコムとのクロスライセンスにおいて利益を獲得することができるだけでなく、その他のモバイルメーカーから特許使用料を得ることができる。これは歴史を変える動きとなる。長期的に見て、モバイルメーカー間での特許戦争が開始することは間違い無い」。

喜ぶZTE, ファーウェイ、苦しい小米(シャオミ)や魅族(アリババ)

発改委がクアルコムに対して決定した処罰について、国内のモバイルメーカーの態度は一様ではない。ファーフェイとZTEは、今回の決定が中国の知的財産権の発展を促進し、フェアな競争環境を創りだすことになると、今回の決定を歓迎している。酷派(Coolpad)の曹井昇副総裁は、この処罰の決定は酷派のように数多くの特許を有する企業にとっては良い結果であり、モバイル企業のイノベーションを促進することになると言う。一方、中新網ITチャンネル(番組)がその他大多数のモバイルメーカーに対して、今回の決定について尋ねたところ、全て一様に拒否された。

このようなその他大勢のモバイルメーカーの態度と、それぞれの特許に関する実力とには直接的な関係がある。中新網ITチャネルが、国家知的財産局のWeb上で中国における特許をサーチした結果、2015年2月10日までに、ファーウェイ(華為)技術が保有する特許は合計で41,679件、ZTEが37,869件、酷派が1,072件、Appleが2,841件であった。そして、小米科技はわずか26件、OPPOも11件である。Lenovoは、2014年10月30日にMotorolaを買収して以降、2,000件の特許を同時に獲得した。小米、OPPOのように、国内で他社の特許に頼っているモバイルメーカーなどと比べて、Lenovoが2,000件の特許を自らのものとしたことは極めて合理的な判断であったと言えるだろう。

王艶輝曰く、「中国国内メーカーにおいて、ファーウェイ、ZTEは比較的多くの特許を保有している。更に4Gでは、上記2社は非常に豊富な基本的特許を保有している。しかし、特許からの利益は非常に薄かった。今回のクアルコムに対する決定は、特許に強いモバイルメーカーにとって非常に良い知らせとなった。将来的に特許がモバイルメーカーに対して利益をもたらすと同時に、業界内での競争における重要な争点となるだろう。特許に弱いモバイルメーカーは、技術開発に対する投資を強化して特許を補充していく以外に、クアルコムや他のモバイルメーカーから特許を買ってくるしか方法はない」。


中国側の記事なので、罰金自体がクアルコムに与える影響を語ることにあまり意味はないのでしょうね。むしろ、今まで国内のモバイルメーカーが、クアルコムに特許料を払ってクロスライセンスしていた無線系のチップに関する特許がロックアップされていましたが、これが解放されることのインパクトの大きさです。

華為(ファーウェイ)、中興(ZTE)など老舗の技術系モバイルメーカーは、自らの技術を開発費用の償却分で利用することができるようになりますが、小米やOPPO、魅族(アリババ)など技術力の無いメーカーは、今後場合によってはファーウェイやZTEに対して特許ロイヤリティを支払い、技術を購入し、その分を末端価格に上乗せして販売することになるかもしれません。

友人の話では、小米のデバイスよりも、華為(ファーウェイ)のデバイスの方が評価が上がってきているとの話もあります。小米は「スマート化」へシフトすることを発表していますが、技術的に劣る部分を、端末そのものではなく、アプリケーションやサービスというレイヤーでブランド化することでカバーしていく方法のひとつの現れとも言えるでしょう。

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実際に、自分も華為や小米の最新機種を使ってみたくなります。