物語
両天秤アプローチが関わった先で、何が起きうるのか。2つの物語にしました。
2つの物語
時系列
2つの物語は、同じ時間の上にあります。「沈めない」は、「37年」の始まりより少し前の話です。
- 2025年9月「沈めない」が始まる。部長会で社長が「お前らが書け」と言う
- 2026年11月20日汐見産業の十三人の部長が、社長の前で長期経営計画を発表する
- 2027年6月「37年」が始まる。グルーの二人が、長野の町工場の休憩室に座る
- 2064年3月御殿場兄弟社が、山藤製作所の配当を手放す朝
登場人物
株式会社グルー
ライブラリアンは、物語を語り継ぐ人です。
- 四十万 英作 (しじま えいさく) 沈めない37年
グルーを立ちあげた。戦略コンサルであり、コーチでもある、両天秤アプローチを司るライブラリアン。会議で相手の論理を一太刀で斬ってきた。戦略を書いても人が動かないことを、誰よりも知っている。森岡からは「エイさん」と呼ばれる。「戦略じゃ、動かないんです。」 - 森岡 克己 (もりおか かつき) 沈めない37年
プロのコーチであり、コンサルでもある、両天秤アプローチを司るライブラリアン。シンクタンクの研究員から IT 企業の上級執行役員へ。どこへ行っても人に好かれるが、渡り鳥のように、どこにも本当には根を下ろしたことがなかった。四十万がグルーを立ちあげてから10年あまりのちに、グルーに加わった。四十万からは「カツさん」と呼ばれる。「俺は、ごく普通の人間なんだよ。」 - 児玉 湊、風間 凪 37年
3代目のスチュワード。外から来た人を、輪の中へ誘う。「今年は輪の中に入りませんか」
汐見産業 (瀬戸内の港町の商社)
- 汐見 耕造 沈めない
三代目の社長、73歳。大事なことを一晩で決め、30年、先代と比べられてきた。いちばん怖いときほど、社員の前で笑っていた。願いは、自分の葬式の翌日から、普通に船が出る会社にすること。「俺が見たこともない海図を持ってこい。」 - 波多野 沈めない
経営企画本部長、57歳。15年前の長期計画を書いた一人。あのとき自分たちで決めたことが、どれほどあったのかを疑っている。社長がいなくなったらどうなるのか、その答えをまだ持っていない。「僕も、あの中に入りたいんです。」 - 真鍋 沈めない
管理部長、52歳。十三人の中でいちばん口数が少なく、鎧を着ているような男。「思いつきもしませんでした。」 - 浜口 沈めない
産業資材の部長。核心を突く問いを、遠慮なく口にする。大口の取引先が離れていくことを恐れている。「自分で一度も決めてないんでしょう。」 - 大西 沈めない
整備の部長。普段は穏やかで、技術者を30年育ててきた。自分が育てた技術者たちの仕事がなくなることを恐れている。社長のことが好きだ。「俺は、社長が好きだ。」 - 井上 沈めない
港の設備の部長。大事な話の直前に、冗談で場を笑いにする。この船を、沈めたくない。「冗談、冗談。」 - 三宅 沈めない
藻場の部長。十三人の中でただ一人、外から来た。藻場の話になるたびに廊下で皆が黙る、その沈黙と向き合おうとしている。「その沈黙と、ここで決着をつけたい。」
プロ人材紹介会社
- 柚木 沈めない
新人。無骨で不器用だが、引き受けた相手は放り出さない。案件が途中で終わってしまうことを、怖いと感じている。「無骨で不器用。」
山藤製作所 (長野の金属加工)
- 山藤 公一 37年
二代目の社長、68歳。28歳で父から会社を継いだが、継ぐかどうかを自分で選んだ覚えはない。自分が背負ってきたものを、そのまま子どもに渡したくない。「ここで働く人たちのものであってほしい」 - 百瀬 啓 37年
入社7年目の班長。5年間言えずにいたことを、自分から立ち上がって口にする。「5年前から、言えずにいたことがあります。」
御殿場兄弟社 (三代続く事業会社)
- 御殿場 聡 37年
創業者。黙って場を見つめ、決算書より場を見て決める。出資者として口を出せない立場に、苛立つこともある。「あの40秒を見て、決めた。」 - 御殿場 瞬 37年
二代目。若いころは、父の出資を道楽くらいに思っていた。「父の道楽くらいに思っていた」 - 御殿場 響 37年
三代目。山藤製作所のない御殿場兄弟社を知らない世代。判だけは紙に押すと決めている。「うちの会社には、この問いがない。」 - 早瀬 結 37年
経営企画部の若手。グルーとの窓口を任される。