中国企業が米国VRスタートアップに出資、1万時間のコンテンツ制作へ
ソフトバンクや中国のネット大手各社、360°ライブVR中継スタートアップのNextVRにシリーズBで8,000万ドルを出資(The Bridge)
火曜日(8月9日)、NextVR はシリーズBラウンドで8,000万ドルの調達を完了したと発表した。このラウンドに参加した投資家は、日本のテック巨人であるソフトバンク、中国のインターネット・ゲーム会社のNetease(網易)、そのほか、CITIC Guoan(中信国安)、CMC Holdings(華人文化控股)、VMS Investments Group(鼎珮投資集団)、China Assets (Holdings) Limited(中国資本(控股)有限公司)など多くの中国企業が含まれる。同社が2015年に実施したシリーズAラウンドに参加したアメリカの投資家も、今回のシリーズBラウンドに参加している。
NextVR が太平洋を渡って(アメリカではなく、中国や日本から)投資家を求めたのには理由がある。アジアに強いプレゼンスを築き、中国・日本・韓国で、より多くのローカルやインターナショナルなコンテンツを提供したいからだ。
という記事が出ていたので、中国側の動き、思惑を補足します。
中国に微鯨という企業があります。WHALEYというブランド名で局面スクリーンの4Kのディスプレイなどを製造販売しっている企業ですが、ここにあるようにVRにも力を入れており、Webを見る限りでは、ヘッドアップディスプレイも販売しています。
この写真がまさにそうです。WHALEYのロゴが中心にありますね。
微鯨の親会社であるCMC(華人文化)は記事にあるように、2016年8月8日にアメリカのライブストリーミングに強みを持つVRスタートアップのNextVRに出資をしましたわけですが、ここに至る3ヶ月の間に、華人文化・微鯨は重要な発表をしてきました。
2016年5月31日に微鯨と上海文化(SMG)、米JAUNTの3者は総額1億ドルを投じてJAUNT中国を設立。2016年4月25日に微鯨は、将来的にグローバルで10億元のイノベーション産業ファンドを創設し、1万時間以上のVRコンテンツを制作するとの宣言を行っています。
この4月の宣言以降、華人文化・微鯨はサッカーの国内リーグや歌番組、アイススケート、ドラマ、そして7月に実施されたSNH48総選挙においてもVRライブストリーミングを実施しています。
微鯨のCEOである利懐宇は、VRにおけるライブストリーム分野は、臨場感を求められるためファンの強い支援が得られることと、技術的にゲームなどよりも高度なものが求められることの2点から、有力であるとの見方を示しています。
中国ではモバイル・インターネットの普及スピードが急速であったため、映像や音楽コンテンツも当初著作権を無視した形でやり取りがなされ、一気に広まっていきました。しかし、それで終わりというわけではなく、コンテンツを手に入れやすくなったからこそ、リアル、体験がよりいっそう重視されてきています。VRコンテンツはその中でも重要な役割を果たすことになりそうです。