中国でネット学生ローンがブーム、学生の21%が利用する中で、年利20〜40%という利息率が重荷に

懐が寂しい大学生でも、指をちょっと動かしてweb上で学籍資料を登録するだけで、「我がまま成金」のような買い物をすることができます。今、大学生向け消費者ローンのwebプラットフォームが雨後の筍のように増えています。大学生は無担保でも、ECサイトで分割払いをしたり、直接少額の現金を引き出すことができます。

2014年、大学生向け消費者ローンサービスがもの凄い勢いで成長し、「趣分期」、「愛学貸」、「分期楽」などを代表に、webプラットフォーム型のサービスが休息に成長し、インターネット業界における新しいブームとなっています。「趣分期」と「分期楽」が、前後して第3回、第2回目の資金調達に関する情報を発表して以来、業界の1社あたりの資金調達規模は1億米ドルを下らないと言われています。2015年1月、ECサイトの巨人である「京東」も、「白条」サービスという名前で消費者ローン市場に参入、金融業界の次のブルーオーシャンが出現しました。

市場はホットになり続けていますが、疑いを向ける声も少なくありません。ある大学生向けの消費者ローンサービスの金利は年率で40%と、高利貸状態になっているものもあります。大学生が消費者ローンを利用して買い物をするのは、正に「手が届かない」商品で、伝統的な消費概念の大転換点に入ったと言えるでしょう。

zeni

大学生は狂ったようにローン消費に熱狂

学生証、身分証を持っていれば簡単に手続きは完了し、固定収入の無い大学生でもすぐにweb上で数100元から数万元など異なる信用レベルでのローンを利用することができます。また、ECサイト上で分割払いをすることや、キャッシングをすることなども可能です。

2009年以降、「銀監会(中国の銀行に対する政府の管理・監督機関)」は、大学生に対するクレジットカードの参入障壁を上げる政策を発表、大手銀行は大学生に対するローン業務から撤退しました。大学生向け消費者ローンのプラットフォームが沸き起こっていることは、この隙間を埋める形で作用しています。学生にとってのプロセスは非常に簡単で、無担保でもあり、学生たちからは歓迎を持って受け入れられました。

腾讯科技(テンセント:wechatの会社)は、「大学生の分割ローンに対する需給についての報告」を発表しました。それによると、78%の大学生がEC分割ローンについて聞いたことがあり、21%が実際に利用、50%近くがこの新しいサービスを利用する意志があるとされています。既に利用している人の内、62.2%はデジタル機器の購入に当てており、ゲーム、服、飲食、学費の順となっています。

記者が試しに「分期楽」に登録してみると、携帯電話番号、姓名、身分証、大学名などを実名で入力するだけで、すぐにデジタル機器の分割ローン購入プロセスに入ることができました。同サイトの人間によると、デジタル機器を購入する際に、ユーザーは身分証、学生証などの原本が再び必要になるとのこと。最初のオーダーが成立すると、サイトのスタッフが訪問し一対一で審査を行い、手続きが完了したところで商品が届きます。このプロセスは数日で完了し、更に48時間以内にwebローンを利用することができるようになります。

ローン金利の驚きの高さ

大学生は安定的な経済的収入がないので、大学生向けのローンに関するリスクを指摘する人は少なくありません。業界専門家の分析では、プラットフォームの運用にはリスクコントロール制度の運用が鍵であり、ECサイトやP2Pプラットフォーム、学生消費者の重要なハブとして位置づけられる必要がある、と。更に。リスクコントロールができない場合、将来、このプラットフォームは簡単に崩壊することになる、と指摘します。

大学生向けローンプラットフォームの資金源は、自己資金と第三者からの調達ですが、一般的には債券をP2Pプラットフォームに向けて発行し、融資を引き出す形です。学生向けローンサービスのクライアントは、ひとつはP2P企業、もうひとつはECサイトです。オンラインショップは、利息付きの分割払い方式で学生に商品を販売し、その中から、商品の仕入れと販売価格差、そして利息の差から儲けを得ます。

リスクコントロールの制度が機能しない場合、P2Pプラットフォームからの資金、すなわち大学生向けローンプラットフォームに対する資金の調達コストは決して安いものにはならないでしょう。大学生がこのプラットフォーム上でお金を借りた場合の利率も高いものとなります。学生ローン側が、極端に大学生に対するローンの敷居を下げ、無担保としたことで、却ってサービス費用や利息、違約金などが高くつく形になっています。

「愛学貸」でiPhone6 Plusを購入する例を挙げます。Apple社のweb上では6,088元となっています。例えば、「愛学貸」で12回の分割払いを選択すると、毎月の返済額は604元で、内元本が507.3元、サービス費用が96元かかる計算です。12ヶ月後、ローン利用者は、結局7,248元を支払ったことになり、その内利息が1,160元ということです。年率は19%という計算になり、銀行で同じ回数で返済する場合よりも遥かに高い利率です。

キャッシングの場合はどうでしょうか、それは驚きの利率でした。「分期楽」で「借点花」サービスを例に挙げると、3,000元を借りて、12回の分割払いとした場合、毎月の返済額が310元、元本が250元で利息が60元。合計すると3,720元を返済したことになり、実質的に24%を超える年利となります。

マイナスの消費価値観を助長するのでは?

学生ローン企業が、学生に収入に見合わない消費体験をさせるために学生の信用管理モデルを構築する対価として、高額なサービスと利息をとっている現在の状況は、固定の収入が無い大学生に対する「高利貸し」そのもので、学生の消費価値観に対して負の影響を及ぼす可能性が高いと業界の専門家は指摘しています。

若い大学生は新しいことを追求し、消費に対する要求も強烈です。しかし、収入に限度があることで、その欲望の抑制がはかられています。大多数の学生は、依然として両親からの仕送りを生活費に充てています。ローンは手軽で時間もかかりません。障壁の低いweb型の分割ローンは、懐の寂しい大学生にひとつのソリューションになりました。一方で、感情的な消費習慣の助長につながり、高い利息は固定収入の無い大学生にとては重たい負担となります。

以前の調査によると、大学生がローンを組むのは自らの消費欲求を満たすためであることが多く、中でも高価なデジタル機器を購入する割合が非常に多く、例えば起業や、研修などの自己研鑚活動などへ使う割合は少ない結果が出ています。この状況が続く限り、消費は誤った方向に誘導され、盲目的にハイエンド製品を購入する雰囲気を助長することになるでしょう。

出所:羊城晩報

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