微信(wechat)の次を担う”企業号” 顧客と従業員をエンゲージする究極の姿

中国のインターネット企業”腾讯(テンセント)”が提供する”微信(wechat)”については当ブログで多く取り上げてきましたが、日本ではまだ知られていない機能があります。wechatには”企業公式アカウント”が存在します。これは”微信公衆平台(wechat Open Platform)”の中に設置された機能で、一般的にはLINEの公式アカウントのように企業がそのユーザーを囲い込み、コミュニケーションをするために活用されます。

 

アカウント形態

企業公式アカウントには3種類のアカウントがあります。①订阅号、②服務号、③企業号です。①、②については上述したようにユーザーに対してメッセージを送ったり、企業独自のメニューを設置してランディングページやコンテンツに誘導する役割を持っています。上図には2つのアカウントが表頭に載っています。違いについて細かくは語りませんが、①订阅号は1日1回ユーザーに対するメッセージの送付が可能ですが、ユーザーから見ると企業アカウントが”订阅号”という項目の中に他の公式アカウントとまとめられるためパッと見て分からない点がネックです。②の服務号については企業アカウントが、wechat上で他の個人ユーザー(友達)と同じようにリストアップされ目立つ一方でメッセージの配信は1ヶ月に4回と制限されています。どちらを選ぶかは企業次第ですので、ここで深く説明をすることを避けますが、日本では殆ど知られていないのが③企業号です。この点について今回は触れようと思います。

 

企業号メニュー

企業号に登録した企業は、上記の9つの機能を活用することができます。①独自開発のアプリの連結、②従業員の連絡先リスト、③従業員のグループ分け管理、④画像なども含めたメッセージの無制限利用、⑤個人情報保護、⑥グループチャットの窓口の統合、⑦アクセス権限管理、⑧蓄積された情報へのAPIを介したオープンなアクセス、⑨従来あるwechatの機能の利用です。

 

すぐに理解していただけると思いますが、これは顧客とのコミュニケーションだけでなく、社内の業務プロセスをマネジメントすることができる機能群であることを意味しています。活用事例を紹介します。

 

Gooday

上記は”日日順(Gooday)”という浄水器を販売している企業が”企業号”を活用して運用している社内システムの一部のイメージです。左側は受注状況を報告するためのレポート、真ん中はマネージャーが部下がどれだけの浄水器を販売したのかがランキング上で分かるレポート、左側はスタッフ個人の受注数、成約数、トレーニング教材の未読・既読数、その月の評価などが閲覧できるページです。

 

病院

これは”粤北人民病院”で活用されている企業号を利用したシステムです。左側の画面は患者から医者に対して術後の経過が良くないことについてオンラインで質問し、医者が答えようとしている画面。真ん中は救急患者の搬送連絡で、救急隊員が取得した基本的なけが人・病人に関する情報が病院側に上がってきています。右側は院長が当日の外来患者や緊急患者の数、入退院者数などを確認するための画面です。

 

このようにwechatのコア機能を活用しつつ、当該事業・サービスに合わせてカスタマイズした機能を顧客向けだけでなく社内のリソースと直結させることができます。結果として、ユーザーに対してO2Oを含めた高度な”体験”を提供することができます。開発については自社でも構いませんし、wechatに認定されたサードパーティに頼んでも構いません。

 

編集後記

wechatをプラットフォーム化することでO2Oで覇権を握ろうとしているテンセントですが、サプライチェーンの川下である顧客とのエンゲージメントだけでなく、社内リソースとも結合する形でそれぞれのサービスのUXを高めていくためのツールを企業に提供しているとことを意味します。現在はまだベータ版としてのリリースで、大きな動静は聞こえてきませんが、高いポテンシャルを持っていると思います。テンセントは現在、膨大なMAUをベースを武器に、企業に対して公式アカウントを設置させて川下側の体験の提供を全力で推進していますが、企業号があることによって、更に先の展開も見据えていることが分かります。

 

wechat

残念ながら現在、中国会社法で定められた法人(営業許可証を保有)以外には①订阅号、②服務号も含めて公式アカウントの開放はされていません。まずは、中国国内でのサービス深掘りを進めていくテンセントの慎重な戦略が見て取れます。新浪微博や百度のアドネットワークを使って集めた顧客をwechatでしっかりとメンテンナンスしていきたいと考える海外企業にとってはこの点がボトルネックになります。早く海外企業にも開放して欲しいですね。この辺りの中国集客周りについてのまとめはまた別途やろうと思います。

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