猛烈な学歴競争社会 | 中国大学月収ランキングとある大学生の苦悩

同済大学美女

2つのトピックについて書きます。共通するのは、中国の学歴競争社会は本当に大変であるということです。

中国の就職情報サイトであるiPIN.comが”2015年中国大学卒業生平均月収ランキング”を発表しました。これは、中国全土にある620の大学について、その卒業生が卒業してから5年後の平均月収の上位から並べたものです。100強を全て掲載すると冗長になるので、トップ20のみを抜粋したものが下記です。

見方ですが、列の左から、

  • 順位
  • 学校名称
  • 卒業5年後の平均月収
  • 北京・上海・広州・深センで就職している割合
  • 学校のタイプ
  • 所在地

です。

ランキング20

タイプに出てくる数値についてですが、

  • 211:”211工程”と呼ばれるプロジェクトで、中国教育部が1995年に定めた、21世紀に向けて重点投資をしていく大学
  • 985:”985工程”と呼ばれるプロジェクトで1998年5月に中国教育部が定めたもので、研究活動の内容を国際レベルに上げるために重点投資をしていく限られた大学

のことです。トップ11までの大学では卒業生の5年後の平均月収は1万元(約20万円)を超えてきます。また、北京・上海・広州・深センという4大都市での就職の割合が非常に高いことが分かります。唯一、浙江大学のみが39.6%となっているのは、浙江省が非常に特殊で、元々民間資本が強い土地柄であり、かつ地元にアリババなどの巨大企業があることが原因だと思われます。

21番目よりもランキングが下の大学についてはこちらを見て頂ければ分かると思いますが、上位が北京、上海に集中していたものが地方都市にも分散していくことが分かります。ところが一方で、ランキング下位にも北京、上海の学校が頻繁に顔を出します。ということでポイントは下記のようになります。

  • 高い収入を得たいのであれば名門校を選ぶこと
  • 名門校が難しいのであれば少なくとも北京・上海・広州・深センにある大学を選ぶこと
  • 上記の都市の大学が難しいのであれば、985/211工程にリストされている重点大学に進むこと
  • 工学、経済、言語、芸術・技術を専門とする伝統校の平均収入は高い

非常に現実的な話ですが、それだけ中国の就職環境において学歴が重視されていることの現れであると思います。それを立証する一つの事例が記事になっていましたので紹介します。それは、ある名門校ではない大学に通う四年生がボランティア活動などを一生懸命実施し65もの表彰を獲得、更に大企業の董事長のアシスタントのアルバイト、自身でメディア関係の企業の設立に参加などしたにも関わらず、いざ卒業を控え就職を考えた際にひとつも仕事を見つけることができないというケースです。

孫

孫夢涛という名前の彼は、2011年に安陽工学院文法学院という大学に進学、専門はラジオ・テレビのディレクションでした。彼はそこでボランティア組織を設立。校内でお金に困っている貧困学生を対象として、企業からボランティアの支援金を募るという活動を始めました。開始した当時は6名だったものが200名まで増えたと言います。その他、3年間の活動で彼が組織もしくは参加したボランティア活動は100を超え、貧困環境の大学生に対して総額40数万元(800万円)に達したそうです。

この活動がある企業の董事長から認められ、”董事長アシスタント”としての数ヶ月の実習の機会を得ることもできました。しかし、2014年10月に学歴の重要性について意識した彼は董事長アシスタントの職を辞し、卒業試験に望みますが不合格となり、考えた彼は10万元(200万円)の資金を集めて教育メディアの会社を創業し、その運営状況は悪く無いものでした。

しかし創業後3ヶ月経って、企業運営・経営の経験の乏しさを感じた彼は、一度創業した会社を寝かし、企業に就職して経験を積むことを考え、2015年3月から今に至るまでに約50社に対して履歴書を送付しました。しかし、1社も面接希望の通知を得ることはできなかったのです。

なぜこのようなことが起こるのか?中国企業の採用基準が学歴偏重になっているためです。彼よりも1年先輩に当たる学生が彼に言った言葉が突き刺さります。

僕自身も学部生を卒業する当時就職活動をした結果としては一つも面接の連絡が来ませんでした。しかし、”985工程”の大学院に進学した後には、履歴書を出した企業から正に”百発百中”で面接の通知をもらうことができました。その後、世界500強企業に入社し、3ヶ月後には昇進・昇給があり、1年後には年収”20万元(400万円)+成功報酬”の対偶となり、現在では河南地区の総監という立場になっています。そうです。学歴はボランティア表彰よりも遥かに遥かに重いのです。

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