ロビンリー(李彦宏)が万科メンバー80人を相手に熱く語る百度とGoogleの違い

2014年12月下旬、万科グループ(深センに本社を持つ中国の大手不動産企業)の郁亮総経理が社員80人を連れて北京にある百度の総本部に董事長兼CEOである李彦宏を訪れかなり深い議論を行いました。話題はイノベーションを鼓舞することから、スマートホーム、職業経営者の文化に至るまで・・・、以下はその際の対話の実録です。

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1. 百度とGoogleの違い

万科:質問があります。一つ目は、百度とGoogleとでは発展戦略上、もしくは製品サービス戦略上どのような違いがありますか?二つ目は、360(セキュリティソフト、ブラウザ)搜狗(SOGOU:中国語入力、検索エンジン)などは、百度に影響を与えていますか?

 

李彦宏:百度とGoogleの違いは二段階に分けて説明をすることができます。PC全盛期の頃に私たちが主に手がけていたのはUGC(User Generated Content:ユーザーがコンテンツを作る状態)です。これは、米国で定義される検索の概念とは異なります。我々は発展する過程で受動的にインターネット上に既にあるコンテンツを索引したのではなく、特に中国のユーザーにターゲットを当てて、中国のインターネットユーザーが主導的にコンテンツを創っていったのです。例えば、百度のWebサイト、グローバルで最大の中国人コミュニティで、DAU(Daily Active User)は1億人近く、彼らの発言は2003年12月から今に至るまで一字一句が保存されており、その内容は百度で検索することができます。その後、「百度知道(教えてサイト)」、「百度百科(百度のWikipedia)」などの考え方が出てきたのです。私たちはユーザーに創造のドアを開き、コンテンツが創造され、再び検索エンジンの技術が進化してきたのです。これが、PC時代の百度の発展の歴史で、Googleとの最大の違いであると言えます。

 

李彦宏

 

モバイルインターネット時代でも、百度とGoogleの最大の違いがあります。これは理念の上での最大の区別と言っていいでしょう。Googleは多くの力をアンドロイドのエコシステムの上に注ぎ込んでいます。アンドロイド上で更に多くのアプリをどのように生み出していくか、もしくは、どのようにすれば20年後にこの巨大な産業を再び変革することができるか、例えば無人運転や、ヘルスケア方面のハードウェアなど、彼らはこういうことを考えています。

 

百度はどうでしょうか。我々は情報を繋げるだけには留まりません。サービスを繋げます。例えば、今、百度を開いて「映画館」と入力すれば、ここから1.1kmに映画館があり、何時何分に上映されるのか、座席があれば買うことができ、かつ自分の好きな座席を選んだ後にお金を払うことができます。この一連の動作は全て百度の上で完了することができます。Googleにはこのような機能はありません。Googleはこのような機能は彼らが提供するものとは考えていないようです。ネットワーク上で物事を検索することが彼らの核心なのです。

 

さて、私の見方では、中国のインターネットユーザーは、インターネット上のサービスについては、百度の責任でやっているかどうかには関心がなく、自分の欲しい物事がそこで見つけることができるかどうかだけに感心があります。このような考え方は、インターネット初期において私にとっても受け入れがたいものでした。ある人が百度上で好ましくない内容を検索した場合、あるいは騙されたとしても、実際には百度の情報ではなく、検索された内容なのです。私はずっとこのように思ってきました。これは私のミスではないと。その後、私たちはだんだん意識するようになりました。もし、他人があなたの過失であると認めたのであれば、それはあなたの過失であり、あなたが解決すべきことなのです。ですので、その後私たちは安全保障計画を作り、保険に加入しました。もし、百度の検索エンジンで騙されたのであれば、それが、百度のコンテンツではなかったとしても、最終的には私たちは騙された相手に賠償します。このような考え方は徐々に形勢されました。事実が重要なのではありません。ユーザーがどのように認識したのかが重要なのです。ユーザーがこのように考えるのであれば、あなたが解決しなければならないのです。

 

更に、モバイルインターネットの時代になり、私たちは、ユーザーが百度を使う際の究極の目的は、何が上映されているかではなく、どこに映画館があるのかということでした。私たちはそのニーズを満たす方法を考えました。すなわち、ユーザが百度で単純に知識や情報を得るだけでなく、サービスを受けることもできるようにしようと、そうすれば更に便利になるはずだと思いました。幸運なことに、中国の実体経済発展は急激で、多くの伝統的産業は開放的で、私たちと協業することを受け入れてくれました。私たちがなぜ映画館とITシステムとを繋げたのかという理由です。この例が、私たちがモバイルインターネット時代においてGoogleと一線を画す最大の部分です。

 

今現在、国内には検索エンジンとしてのライバルがいます。これは良いことだと思います。多くのライバルが、互いを参考にして、互いから教訓を引き出し、切磋琢磨することで速いスピードで進化することができます。現時点で百度はPC上、モバイルインターネット上での市場シェアはナンバーワンです。Wifi上でのシェアは更に高くなっています。

 

Wifi時代に入り、成功のしきい値は更に上がりました。サービスの連携は単なる検索エンジン技術だけにとどまらず、オフラインでの結合も必要となっています。同時に、多くの人が音声やスタンプなどの画像を使って表現をするニーズが出てきています。音声認識はとても難しく、画像認識も非常に複雑で更に難しい技術です。これらの技術について、百度はライバルに対して差をつけています。ですから、将来、これらの領域での差別化されたUXをますます明確に打ち出します。ライバルがどちらを向いてどのように走っているかあまり気にする必要はありません。私たちが気にしているのは、ユーザーのニーズに対する満足度です

 

2. 最大の関心事はサービスが市場から認められるかどうか?

万科:以前あなたは戦略班が新しい未来を発見すると仰りましたが、誰が未来を定義して、誰が意思決定するのでしょうか?

 

李彦宏:大きな戦略はもちろん私が決めています。戦略班は参謀部のようなものです。これは一つの説得のプロセスです。戦略班がプレゼンをしている最中、私は彼らにチャレンジします。理論的には、職位が相対的に下の人間が上の人間にプレゼンをするのは緊張するものです。更に、市場にどのような変化があるのか、上司に対して我々がどのようにする必要があるのかをプレゼンする訳です。戦略班がプレゼンをするプロセスで、みんなが共通認識を持ち、判断に至ります。百度の文化は「Enjoy being challenged(チャレンジされることを楽しもう)」です。時には、Enjoy challenge Othersとも理解されます。しかし私は、あなたが他人に挑戦することを奨励している訳ではありません。他人があなたに挑戦することを奨励しているのです。もしくは、こう導いています。他人が自分の意見に同意しないという状態を大事にしようということです。他人から挑戦されればされるほど、あなた自身の考え方は完全になり、間違いを起こす確率は減っていきます。戦略班と私の関係は正にこの状態です。彼らが私にプレゼンすれば、私は彼らに挑戦します。私が彼らにプレゼンすれば、彼らが私に食って掛かります。この応酬を経て、最終的に共通的なひとつの結論に至ります。

 

万科:質問があります。あなたの戦略的意思決定において、特に考慮するものは何ですか?例えば、規模、セキュリティ保護、利益など、何が意思決定の出発点になっていますか?また、インターネット企業を指揮するにあたり、毎日非常に大きな不確実性に直面すると思います。あなたは、自らの収入の成長速度や、その構造など、意思決定において財務的な方面とをどのように結びつけているのでしょうか?更に、未来の百度は、検索エンジン以外からの収入が、百度においてどのような作用をもたらすかを考えたことはありますか?

李彦宏

 

李彦宏:本当のところ、収入について、利益、もしくは将来3年の人員成長によるリターンはそれほど多くありません。今年の収入がいくらであったかについて、私は覚えていません。上期の利益がどれくらいかも覚えていません。私の最大の関心事は、私たちの製品サービスが市場に受け入れられているかどうかということです。昨日のモバイル検索数がどれくらいだったか私は覚えています。PCでの検索数がどの程度だったか、団体購買の流量がどれくらいだったか、こういった数値は覚えています。これらの数値は市場が我々をどの程度受け入れているかを意味しています。毎日どのくらいの人がサービスを使っているのか、これはこのサービスが市場にどの程度受け入れられているかを意味していますね。だから、私はこれらの数値にこだわるのです。ある新技術が導入された後、市場からの認可はどのくらいの影響を与えるだろうか?技術の発揮によってユーザーのニーズに何か変化が現れただろうか?変化が現れたら、我々の満足度は上がったのか、下がったのか?もし下がったのであれば、どう改善すれば良いか?毎日このようなことを追求しています。いったん製品サービスが市場に受け入れられれば、自然に収入が入り、利益が出る上に、素晴らしい成長空間が現れます。もちろん、私は会社には他に人がいることは分かった上です。例えばCFOは毎期の利益がどうなっているのか非常に気にします。これは彼の関心事です。ですから私は無関心でいられるのです。

 

3. 百度はなぜ国際化するのか?

万科:Robin(李彦宏のニックネーム)、質問があります。百度は世界でも最高の中国語検索エンジンです。なぜ、国外に飛び出ようとしているのですか?エジプトやブラジルなどについて、どう考えますか?国際化の過程の中で、一体何にチャレンジしようとしているのでしょうか?

 

李彦宏:私の考え方として、百度が中国市場だけで終わる会社と思ったことはありません。2000年に設立をした頃、百度のロゴは今のものとは違いました。今のロゴの左半分だけ、つまり「百度」の漢字はありませんでした。当時から、我々は中国市場だけの会社ではないと考えていたからです。中国語の検索から始めて、将来はかならずグローバル企業になろうと。その後、発展プロセスの中で、グローバル化を意識しましたが、まずは中国市場で良い成績を残そうと思いました。再びグローバル化に入った頃、多くの国で右半分の2文字はどういう意味なのか?と聞かれ、非常に葛藤しました。その結果、新しい市場に入る際には、左半分の「Baidu」の文字は残し、右半分は現地の文字に変えることにしました。

 

検索技術に関するスタッフの能力はグローバル化できると思っています。唯一、米国は検索エンジンが早く発展しただけでなく、市場も巨大、ライバルも強いので、米国市場では戦えないと思っています。そして、我々は最初に日本市場を選びました。なぜなら、日本は当時世界で2番目の経済大国であり、かつ巨大な検索エンジン企業が存在せず、Yahoo!とGooleが市場を分けあっていました。まだブランド知名度が完全に確立されていない中で、消費者は新しいブランドを受け入れやすいのです。

 

その後、私たちのターゲットは発展途上国になりました。発展途上国は中国ブランドを受け入れやすい素地があり、市場の状況も中国の3〜5年前に似ています。しかし、発展途上国の市場規模は比較的小さく、ニーズを創りだす必要があることに気づきました。ベトナム市場が典型です。そこで、比較的大きい市場を見つけました。例えばブラジルです。人口も多く、8,000万台のスマートホンが保有されています。数年のニーズ創出活動で面白い状況になるはずです。ですから、諦めずに続けています。

 

我々の技術の蓄積は検索の他に、自動翻訳があります。マイナーな言葉を使う国のユーザーに、インターネット上の英語文献、中国語文献を閲覧できるようにすることができます。これは私たち独自の提供価値です。こういった国々でより良いサービスを提供することができます。私の考え方は、先に市場に認めてもらい、その後成長させ、最後にお金のことを考える。そういうことです。

 

4. 百度CEOとして最大の仕事は変化に対する判断

万科:Googleには元々プロの経営者がいました。更に、かなり長い時間勤めていました。百度は過去15年間ずっとあなたが経営をしていました。創業者として今までの間に非常に大きな企業に成長させました。これまでの経験の中で学んだことは何ですか?

 

李彦宏:良い質問ですね。百度を創業した頃、投資者から明確に言われたことがあります。プロの経営者を呼んでCEOの任務に就かせなさいと。私は問題ありませんと答えました。ですから、百度の最初の5年間、私はCEOではなく、総裁でした。CEOの地位はずっと空席でした。いつになったらCEOを探せるだろう、結局、5年間CEOを探すことはできませんでした。探し続けた5年間はまた、業務を理解するプロセスでもありました。2005年に上場する頃、会社にCEOがいない状態で上場できないということが分かりました。投資目論見書の中のCEOをどうしようということになりました。私は、私がCEOをやろうと言いました。その瞬間から私は百度のCEOになりました。私は、良いCEO候補が見つかったら、いつでも彼のために席を譲るつもりです。全く問題ありません。

李彦宏

 

では、なぜずっと適任者を見つけられなかったのか?この問題について考えてみましょう。我々が戦う市場の変化は本当に速い。このような業界で、会社のリーダーもしくはCEOの最大の仕事は何でしょう?それは変化に対応した判断です。ユーザーの行動にどのような変化があったのか、新しいエコシステムは私たちに対してどのような危険をもたらすのか、もしくは機会をもたらすのか?プロの経営者はこういったことにあまり得意ではありません。典型的なプロの経営者が得意とすることは何でしょう?私が500人しかマネジメントできなかったとしても、彼には5,000人、1万人のマネジメントができます。そういうことです。しかし、インターネット企業では、毎年の成長率が100%とか200%とかになる業務特性上、プロの経営者の力では足りないのです。必要ないのです。実際、私はプロの経営者のようなことはできません。しかし、会社が全力で前進するためのリーダーシップを発揮することはできます。この業界、企業の立場から言えば、CEOに対する要求は業務に対する正確な判断です。

 

もしプロの経営者が4年後にリタイアする契約であったとしたら、4年後に会社が獲得することができるであろう莫大な利益は、彼にとってはあまり重要ではありません。先ほど話をした、モバイルへの転身では、2年間で営業利益率が53%から29%まで落ちました。プロの経営者はこの意思決定ができません。しかし、創業者は果敢に挑みます。これが、私がずっとCEOであった理由です。ただ、私の気持ちはいつでもオープンです。いい人が見つかったら、いつでも私は自分の立場を譲るでしょう

 

万科:百度と不動産(万科グループも不動産)はずっと協業しています。「百度楽居」、「投資安居」などですが、もしよろしければ、百度と不動産の競合の位置づけを教えて頂けますでしょうか。今仰った百度のオープンな思想とプラットフォームは、不動産事業においてどのように実現されているのでしょうか。

 

李彦宏:不動産は非常に巨大な市場です。色々な形式で協業ができます。一つは不動産のWebサイトでの協業で、比較的簡単な形式です。彼らもインターネット企業ですし、既にインターネットの考え方ですから、我々に教えることもありません。大部分の状況では、彼らが主導的に私たちに対して、どのくらいの流量を買いたいか、私たちがどのように送客ができるか、私たちがその点でどのようなサービスが提供できるかを簡潔に要求します。しかし、本当の意味でのデベロッパーとの協業を行うためには、我々は不動産業界の真のニーズを理解する必要があります。その後、私たちのサービスが不動産のクライアントとどのように組み合わせることができるかを分析する必要があります。百度は完全にオープンです。お客様が喜んでくれることが全てです。垂直統合された業界については、どの業界であっても私たちが一番詳しい訳ではありません。垂直統合された業界の人が一番詳しい訳です。私たちは彼らに合った提案をするだけです。

 

出所:万科週刊


 

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