中国テンセントのポニーマー(馬化腾)が語る微信(wechat)誕生時の葛藤と本質(後編)

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時価総額1,000億ドル、恐ろしい数値

温室の中でぬくぬくとしていたら、このような危機が突然発生しました。もちろん警告はありました。私たちは(時価総額)1,000億ドルに触ることができたのです。本当に恐ろしいことです。もし上手く行かなければ、市場価値は何ポイントも下がります。毎秒毎分起こる可能性があります。数ポイント下がり、続けて下がっていきます。正にまだ暖かさの残る死体・・・、見る人をギョッとさせます。こんな気持ちです。テンセントは当時、メールアプリを作りました。その後、スマホ向けの簡易QQのようなもの、例のアレですね、を作りました。どうやって改良しようかと、私が直接コントロールしていました。このチームは3〜5人、すぐに人を増員して、メールボックスを改造するところから始めて、ようやく微信が完成しました。完全なスマホ向けのサービスです。早かった。2ヶ月でした。毎回毎回こんな感じです。最後にはまるで新大陸を発見するかのような感覚です。開始時には思う通りにならないのですが、物事はどんどん改良していけば良いのです。現在は成長フェーズ、情報セキュリティの問題も残っています。

微信を使うことは魔法を使うようなものです。「揺一揺(Shake)」機能、「近くの人を探す(Look Around)」機能もできて、ナンパのためのツールにもなりました(その後すぐに適正な処理をしましたが)。当時のチャイナモバイル(中国移動:メガ通信キャリア)の意見や、中国国家工業情報部(工信部)からのプレッシャーは巨大でした。私は工信部に問い合わせました。「もし微信の利用を禁止するのであれば、それでも構いません 。モバイルQQがありますから、怖くありません。しかし、全部を禁止することができますか?海外からのアプリも全て封鎖することは可能ですか?」と。私は「そういうことではないでしょう」と繋ぎました。あなた方は、他人が入ってきてやることを、やらなければいいのです。工信部としてキャリアに対して、こういったものは一切やってはダメだと圧力をかけることもできるでしょう。いいでしょう。テンセントにはモバイルQQがあって、これだけ長い期間やってこれていますからね・・・と。最後には皆さんに理解してもらえました。これはメガトレンドであるということを。しかし、本当に長い時間を費やしました。現在は、理解して頂いているキャリアもいますし、そうでないキャリアもいるという状況です。

中国移動

こういうことをたくさんやってきました。ここまでの道、本当に面倒なことばかりでした。そしてまだ解決されていない問題がたくさんあります。安静には程遠い状態です。本当に沢山あります。「網易」が中国電信と統合して「易信」になりました。今日、ネットワーク利用料は全面的に無料だそうです。トラフィックのプレゼントだそうです。数日前のセミナーにて、今年は「阿里旺旺(アリババのチャットアプリ)」と競争になると話しました。モデレーターであった郭広昌(復星集団の董事長)は私に「あなたは結局、モバイル向けの阿里旺旺のひとつにしかなれないのでは?」と言いました。阿里旺旺アプリは、そこから淘宝網のユーザー、EC機能との結合が必要であり、更にその位置づけは小売店と消費者との間での繋がりに過ぎず、最終的に消費者同士がコミュニケーションすることは難しい。実はPC時代の考え方です。15年後にもう一度議論しましょう、と答えました。話を戻しましょう。

中国のキャリアはなぜ我々のような業務を敵視するのでしょうか。一年前にテンセントは韓国の微信のようなサービスに投資をしました。私は彼らに聞きました。皆さんの方では(このような政府・キャリアの干渉は)どんな具合ですか?と。(投資してから)一年少し経って、全く同じ状況が発生しているのです。韓国最大のキャリアが汚い手を使って、ネットワーク上のトラフィックを分断したのです。ネットワークを遮断したということです・・・。いいでしょう、このような策に出ても。しかし、使っているユーザーたちはどうなるんでしょうか?困りますよね?そうでなければ(彼らにとっては)良かったのでしょうが、この発表がなされた後に、ネットワーク利用者は怒り狂いました。なぜなら、彼・彼女たちはキャリアにお金を払っている訳です。何を持ってトラフィックを遮断できるのですか、完全な違法行為です。最終的には、中国の工信部と似たような行政機関がその処置を禁止としました。その後、いくつかのキャリアは自分たちで似たようなチームを作りましたが、全て失敗しました。仕方がないのです。天下動乱が起こり、新しい分水嶺が引かれたということは結果的には良かった。一般論としては、最大のキャリアが反対しますね。彼らの既得権益を破壊するからです。

微信のようなものが出てきた時も、全世界は一様にこのような脊髄反射をします。絶対にこのプロセスを通ります。喧嘩が必要なんです。背景に小さい動きが少しでもあれば、メディアは騒ぎたてます。しかし最終的にはメガトレンドには逆らえません。収まるべきところに収まります。なぜなら、これらは私たちが仕掛けたことではなく、私たちが創った状況でもありません。海外のライバルが仕掛けることはできます。彼らは一連のプロセスを経てきているからですね。これはメガトレンドなのです。モバイルインターネットが今ほど流行していなかった頃、私たちは物流ネットワークと電話を使いました。しかし、いまはPCを使います。更にPCを使っていた時間はモバイルを使っている時間に取って代わられています。キャリアのネットワークを使っているんです。キャリアは何を心配しているのでしょうか?薄利多売?今後は音声通話やSMSが完全無料になっていくから?メニューの中で使えるようにすれば良いじゃないですか。パケットも固定料金として経営すれば良いではないですか。誰がキャリアのトラフィックから離れることができますか?上手くやることで毎月の利用料は下げなくても良いはずです。経営は続けられます。もちろん今ほどの利益は望めませんが・・・。もう一度言いましょう。中国のキャリアのアプリへの参入障壁は、海外のそれと比べて非常に高い。将来的に、キャリアと多くのサービスプロバイダーがパートナーシップを行うチャンスは確実に存在するんです。ソフトウェアとハードウェアと通信サービスは一体となって体験(UX)を作らなければなりません。ここにはものすごく大きなチャンスがあります。業界を超えたパートナーシップを考えるべきです。以前は細かい部分で仕事をしていましたが、ますますこういったものは実用的ではなくなります。今は、ソフト、ハード、サービスが一体化されている必要があります。これは道理なのです

O2Oとモバイルゲームの発展は速い

流出した我々の文章の中には、テンセントの総裁の見方が示されていました。現在日常で多く使われているアプリはゲームを除けば、確実にQQと微信が際立っており、次いでSogou Input(文字入力)、これもテンセントが50%投資しています。第4位がQ ZoneでこれはQQの個人サイトで、我々としては、もはや使われないと思っているものですが若者を中心に人気があります。第5位は360でした。なぜ私たちはこのようなラッキーな状況にいられるのでしょうか、それはスマホが通信に偏った機能を持つからです。PCは資料作成や動画視聴などで使用しますが、スマホは通信に偏っています。その中で、我々は通信系のアプリを幸運にも手がけていたため、先駆けてシェアを奪ったという訳です。しかし、スマホの性能はどんどん進化し、大型化しており、その他の機能も入り込むようになってきました。例えばマイクロブログ系。これらはSNSと言えますが、シェア機能型ラジオ放送SNSと言っていいでしょう。新浪微博(Sina weibo)について、以前のモバイル上でのアクティベート率はベスト5に入っていましたが、今はベスト10圏内まで下がりました。次に、モバイル決済機能。アリババは我々の遥かに前を走っています。 当然ながら微信支付(Tenpay:テンペイ)から攻撃をかけなければなりません。この市場に狙いを定めるならば、全ての企業のスター社員をこの業務に集約して、この業務におけるチケットを入手しなければならないと感じています。この点でアリババのAlipayはかなり先進的な事例であると認識しています。

オンラインとオフラインの結合、私は2年前から言い始めるようになりました。業界の中でQRコードとそのスキャンについて私が最も早く話をしていたと思います。QRコードの技術が生まれてもうかなりの時間が経っていますが、皆非常に面白いと感じています。モバイルインターネット、更にはスマートフォンの普及以降、微信の中でQRコードスキャンがブームになりました。皆さんの中で印象に残っているとすれば、それはどの場面でしょうか?ブームは我々が「公衆平台(微信のビジネスアカウント)」をリリースした後です。多くの人が公衆平台でファンを増やすことができることを理解しました。皆が公衆平台をやりたいと思いましたが、当時私たちは500人以上のファンがいて初めてV認証(公式アカウントの認証)を与えるという条件を付与していました。Sina weiboにも、テンセントweiboにもこの制度はありました。特にSina weiboのV認証は多く利用されていました。私たちはそのアカウントに微信の公衆平台を使ってもらうために、大量の広告を出しました。QRコードと呼ばれるものをご存知ですか?スキャンする機能が分かりますか?微信のQRコードスキャンを使ってみて下さい。この効果は非常に早く現れました。

私は当時業界内で次のような話をしていました。PCではURLを使っていました。しかし、これはあくまでもIPネットワークの世界のオフライン上での接続を前提としたものに過ぎません。そこでスキャンを思いついたのです。3秒で終わります。非接触です。結果、クールな体験ができます。スマートフォンを利用していれば、何かのサービスにサインアップしようとする時、アカウントを持っていさえすれば、コンピューター上でログオフされている状態でスキャンをすることで、自動的にログオンが完了し、サービスへのサインアップが完了します。これで終わりです。手を使うこともない。非接触型でのサインアップです。このクールな体験は、モバイルインターネットの世界でスキャンという概念が出て初めてできるようになりました。私たちが率先して実現させました。この体験にはイノベーションがありました。

現在は、モバイル決済の分野の競争が苛烈になっています。ECの世界ではスピードは速くありません。多くの人はPC上でゆっくり見たいと考えているからです。しかし、一方でO2Oの世界では、「Ctrip」でも、「去哪儿(どこいくの)」でも、現在のダウンロードの40%から60%はスマートフォン上で行われています。団体購買アプリ、これもスマホが主流になっています。なぜでしょうか?上記に上げたようなビジネスは、団体購買にせよ、食事に行くにせよ、外で行われるわけであり室内のPC上で行われるわけではありません。「美団(団体購買サイト)」のCEOの王興にお目にかかった際、団体購買で食事に行く際にレストランを決定して到着するまでにどのくらいの時間がかかるのか聞きました。以前はかなり時間がかかったとのことでしたが、現在では1時間くらいしかかからないとのことでした。全て歩いている間に検索され、予約が完了し、1時間いないにレストランに到着、その後食事をして会計をするという形です。非常に速い。そして全て歩いている間に済んでしまいます。この業界変化の速度は我々の想像よりも遥かに速い。

モバイルゲームについては言わずもがなですね。微信上にソーシャルゲームが現れ、皆さんが遊ぶようになって2ヶ月、既に1日2,000万人が使います。当時、我々は課金までできなかったとしても仕方がないと考えていました。「頭地主(ゲーム)」は、1日2,000万人が遊んでいます。また、スマートフォン上で単独で遊ぶ古いゲームがありました。「節奏大師」という音ゲーです。これをオンライン化して1年、今ではDAU(Daily Active User)が70万人だったのが1,700万人に増加しました。ソーシャル機能を加え、友達と競争することができる機能を追加した結果です。しかし、これらはどれもまだまだ入り口です。韓国、日本ではこのような方式は既に確立されています。心配はないのです。実行することは簡単です。ただ、その後どのように発展していくか、そのレベルの深さや、インパクトの大きさ、大型ゲームがどのように開発されるべきか、ユーザーがどのように遊ぶのか、このあたりについてはまだ分からない点が多くあります。

さて、検索エンジンです。百度の株価は一度かなり低迷しましたね。一時的に80元くらいにまで下がりました。最近は160元まで戻しました。Googleも同じです。彼らにはAndroidがあります。そして多くの資源がありますが、新しい体験までは突き詰められていませんでした。最近になってモバイル系業務の結果が出始めてから株価が上昇しました。検索行為がスマートフォン上に移行した後、検索成功確率を決して下げてはいけません。以前の統計は極めて悲観的なもので、1/7, 1/10などというデータがありました。これは非常に恐ろしい結果です。スマートフォンに移行してきた後でその体験がわずか数分の一となれば、もう恐怖です。今、徐々に改善されてきています。さてここで皆さん、そもそも論ですが、スマホ上で検索しますか?アプリがあればそれで済みませんか?この問題は確実に存在します。直接アプリを使うことは、ブラウザで検索するよりも遥かに良い体験を提供できます。現在は半々くらいの利用です。今話しをしてきた通りです。(アプリの)利用時間は増えましたが薄利多売の状態です。しかし、母数は非常に大きい。全体の半数であったとしても絶対数は大きいのです。だから悲観する必要はありません。
微信の中で検索をすることは非常に困難です。実際、本当に難しい。音声検索は違います。どこへ行けば良いのかを問いかけて、回答させることができます。伝統的な検索方法では、専門のアプリがなければ、私たちはブラウザから離れることはできません。特にスマホ上でブラウザを操作する一連のプロセスです。一発で検索エンジンを開くという感覚はまだ遠いでしょう。

马化腾

ウェアラブルがホットな話題ですが、私の心は動かされません。以前、ヘルスケア系のガジェット類を沢山もっていましたが全部人にあげてしまいました。ずっと着け続けることができなかったのです。身体の状態を監視することもできますし、病気に何回かかったかも分かります。でも、昔からあまり変わっていませんよね。着けるのをやめてしまいました。スマートウォッチも含めて、スマホで充分だと思います。スマートウォッチは本当につまらない。ですから、今は興奮状態からゆっくりと冷めてまして、形勢を見守ることにしようと思っています。

音声検索機能も試してみました。しかし、他人が試しているのを見て嫌な気持ちになりました。使ってる人は気持ちが良いですね。しかし、その周囲にいる人たちは、何か居心地の悪いものです。こういった雰囲気は良いものではありません。私はこの点でやや保守的です。音声検索は良い機能ですが、必須ではないのです。一人で、あれが欲しい、何がしたいとグチャグチャ喋っている姿はまるでアホみたいですよね。プライバシーもない。私なら数回のクリックを選択します。私はクリックを支持しますね。なぜだからは分かりませんが、一日中スマホに向かって、ああでもない、こうでもないと話すことになるんですよ。であれば、次はクリックしたり入力したりしているのではないですか?現段階、音声検索機能を使うことはできますが、実用化には程遠いのです。ただ、これはいずれ必ず解決されます。今の人工知能の実力では、人の話や意図を理解するところまではいけていません。我々も内部では研究開発をしています。

イノベーションとは既存製品・サービスに対する最大のチャレンジ

私は本来、こういうこと(彼の特徴とされる”内部での競争”の活用)に向いてません。内部で消耗する意味も分からないし、物事も滅茶苦茶になる・・・、本当はこういうのはやりたくないのですが、物事には両面があります。さて、時に内部での競争は本当にただの無駄で、トラブルの元になるだけで、何も生み出しません。これは「同質化(日本語では”足の引っ張り合い”に近い概念)」という現象です。メンバーのレベルに差がない状態で、あなたが私に挑戦し、私があなたの相手になり、結局お互い負けを認めません。誰の得にもなりません。こういうこと、結構あります。外部環境が大きく変わる時、ライバルがしかけてきたり、自分で自分を越えようとしている時、会社にいない時に自分の悪口を言われることもあります。これは、先ほどのケースとは全く違うやり方ですが、ものすごく傷づくやり方です。であれば、強みを隠そう。今、どんな動きが社内にあるだろう?あるのなら、どうしよう?他人は何をやろうとしているのかな?どんな方法を使おうとしているのかな?実際には、こんなこと対応できる訳がありません。私たちが見ているこれらの現象の多くは「同質化」からくるものです。メンバーやチームのレベルが高みを目指していない状態で、何をやっても上手くいきません。

一つ強く思うことがあります。いわゆる、イノベーション。これは、既存製品とサービスに対する最大のチャレンジなのです。我々も既存製品やサービスと全く同じものを創った結果、過去に山のように失敗事例を積み上げています。例えば、サーチエンジン。私たちのチームは「百度」を仮想敵としていました。彼らには何があって、我々に何があるか。彼らはこのルートは思いつかないだろう。Sogouに似せるのが良いんじゃないか?彼らは検索エンジンでは我々に勝ち目は無いと言っている。では、ブラウザで戦おうか、何を載せる?入力ツール?、入力ツールがブラウザ機能を持つ?それともブラウザとして検索機能を持たさせる?遠回りをしたり、別のルートを探したりしました。しかし、結局彼らは我々よりもいいものを作りました。コストは我々の1/3でしたが、結局我々の2.5倍を投入したのです。

テンセントのECチームは淘宝網(アリババ)を仮想敵にしていました。色々やりましたが、どんどん希望がなくなっていきました。全く同じ製品・サービスは本当に難しい。マイクロブログもやっています。新浪微博(Sina weibo)とアクティブユーザー数は変わりませんが、結局勝ちきることができません。一方で、新浪側も勝ちきることができていないということにはイライラしました。そして、そこで我々は発見したのです。新浪を絶望においやるのはマイクロブログ(テンセント微博)ではなく、微信であると。実際、微信に「朋友圏(モーメンツ:友人間でのクローズなウォール機能)」を追加した後で新浪に大打撃を与えることができました。この機能がなければ、このような結果は想像できないでしょう。「朋友圏」を追加した後、実際に大量のトラフィックが朋友圏で確認されました。クローズな環境でのSNSは面白いものです。多くの話題って実は公開したくない。でも、親しい人の間であれば構わないと思いますよね。一方で、朋友圏は外部に公開することもできます。プライベートなSNSにもできるし、パブリックなSNSにもできます。それはユーザーが選択する形になっています。これは新浪微博とは全く違う製品・サービスです。結局、サービスの利用時間ベースで比較して、微信は新浪微博を遥かに上回る結果となりました。私たちも無意識でやっていました。形勢が決まってから気づいたのです。こうやって、既存製品・サービスを打ち負かすのか!と。そして、この微信を打ち破るのは微信ではありません。全く別の面白いサービスなのです。それが、ユーザーの利用時間を我々から奪うことになるでしょう。こういう見方です。

最近気づいたことがあります。その結果、これからはチームにどのような考え方があろうと、鼓舞していくことにしました。将来チャンスを掴むかもしれませんから。今、本当に多くの新しい面白いものが出てきます。皆さんは私は若いと思うでしょう、しかし私は年をとったんです。新しいもの良さが分からないのです。この2日、Instagramの話をしていました。私もほんの少し株を持っています。実際のところ後悔してます。当時、この会社が1ドルも調達することができなかった頃に投資していれば、と。当時、Instagram社内には数人しかおらず、テンセントの副総裁が視察をした結果、あの会社は全然ダメだと、会社の中に数人しかおらず、海岸の家がオフィスで、全面ガラス張りで、レンガ1個あれば内部のコンピューターを全部持っていくことができるぞと。更に、創業者はかなりプライドが高いという報告でした。なら、やめよう、と。その後、もう一度状況を見てみると、各種の数値の伸びが著しいのです。結果、彼らの企業価値が8億ドルの頃に投資をしました。何が当たったのでしょうか?アプリの利用者数が爆発、数倍です。12歳から18歳までの女性が好んで使ったのです。Instagramは微信に似ていますが、メッセージを送ることがメインではありません。全部写真です。一度、発信すると、クリックすれば見ることができるようになります。コピーした場合、例えばあなたが写真をダウンロードした場合、相手はあなたがダウンロードしたことを知ることができます。私たちは当時、Instagramに投資したいということを社内に伝え、何人かが試しに遊んでもいらいましたが、これがまた実につまらない。私たち全員、つまらないと感じたのです。その後、我々の投資調査の結果、このアプリの何が面白いのかが分かりました。ユーザーはこのアプリに何のプレッシャーも感じていないのです。写真を「消費」して、覚えることもしない。だから、プレッシャーがない。面白いものがあるから写真に撮ってみよう、それを皆に見てもらおう、それによって私という存在をアピールしよう、存在感があるってなかなか良いよね、そういう楽しみ方ですね。アメリカではこのようなアプリが次々に出てきます。Facebookが彼らを買ったことは幸運でした。そうでなければ、Facebookにとっては大きなチャレンジとなったでしょう。中国では、このようなニーズは微信の「朋友圏」で吸収しました。このニーズは本当に強い。スマホの電話帳を通じて友人を加えることでネット写真家になれるのです。フォローすれば見ることができます。公開もプライベートも両方可能です。こういうことです。Facebookにとって(微信の朋友圏は)買収しなければ非常に危険な存在ですね。そうそう、Twitterも上場したばかりでしたね。

イノベーションが次々に生まれています。それらはどれも「全く異なるもの」です。どれも「差別化」の方向にはあります。サービスが圧倒的な魅力を持ち得るかどうかは分かりませんし、成功しないものもあります。また、開始したばかりの頃はイノベーティブだったものが、最後にはつまらなくなってしまうものも多くあります。購入時は何億ドルもする会社が、最後にはどうしようもなくつまらなくなることもあります。(物事には)「正しい時もある」のです。自分でも自分のサービスが結局何なのか明確に分からないことだってあるんです。私が10数歳の頃、ヒットしている製品・サービスを他の人が好きなのが全く分からないということがよくありました。ですから、今、子供にたまに聞きます。どう?ちょっとやってみて、好き?友達はどうかな?私たちよりも正確な評価が返って来ますよ。だから言うのです。私たち年寄りには判断ができないんです。人を呼んできて、彼らの意見を聞きましょう、と。

马化腾

モバイルインターネットと伝統的産業との結合

私も正確には分かりません。ゲームが一番簡単ですね。先ほど話をしたO2Oやモバイル決済などは比較的分かりやすい。O2Oでは我々は現在公式アカウントをテスト運用しています。全く新しい会員カードを作ることができないか検討しています。全てのビジネスアカウントの会員カードが微信上で確認できる機能です。これは一通りテストをして、なかなか良い結果が出ています。全ての企業は自らの顧客を持っています。しかし、企業と顧客とのやり取りは会員カードといわゆるCRMに頼っていました。企業は顧客セグメントを分析し、顧客との関係をマネジメントしていました。それなら、それを微信上でできないかと。モバイルインターネット上でマネジメントするのです。ユーザーと直接コミュニケーションすることができますし、それは双方向であり、単調なものではありません。プロセスを書いておき、承諾した後でコミュニケーションや、チャージが可能になります。テンセントは今スターバックスとパートナーシップを進めています。スターバックスは微信を使って会員カードを発行し、ポイントをチャージしたり、貯めたり、使ったりすることができるのです。これにより、スターバックスは大量の紙のコストを削減できまる上に、宣伝効果を得られ、多くの会員を獲得することができるのです。

テンセントはB2C方面を開拓しています。「当当(EC)」のケースでは、買い物をした後、微信支付(Tenpay:テンペイ、テンセントのモバイル決済機能)を使うことで、「当当」へログオンしていない状態でも、微信にログオンした状態であれば、微信の中で既に結合させた銀行アカウントからTenpayを使って支払いをすることができます。更に、微信は位置情報も把握しているため、いちいち住所を入力することなく、配送先情報を送ることができます。このようなやり方はかなりイノベーティブな体験であると言えましょう。商品を購入した後、購入が確定した情報がアカウントに送られ、「当当」のファンになることができます。商品がいつ届くのかについては、微信の公式アカウントのチャネルを通じて知らされます。これはクローズドな体験であると同時に、オープンなサービスプラットフォームです。

オフラインでも使うことができます。リアル店舗でもQRコードをスキャンすることで、公式アカウントに入ることができます。今は脅迫的に買わなくても良いですね。ウィンドウショッピングでもいいし、販売スタッフとゆっくりお話することもあるでしょう。その中で微信IDを交換します。ほしい商品がいつ頃入荷するのか、いくつかの写真と共に微信で知らせてくれるでしょう。今はこのような原始的な方法に頼っていますが、暫定的なものです。将来、販売スタッフの皆さんに一つの技術プラットフォームを提供したい。伝統的な小売店で販売スタッフの時間効率を最大に上げることができるように。スマホを通じて、コンピューターを使わずに、既存顧客のケアをしていく。新製品が入荷したらプロモーションすることもできます。もしくは、その新製品が気に入らない場合には、わざわざ来店させることもありません。気に入ったものを選んでもらってそれを発送する、あるいは次の来店時まで取り置いておくこともできます。ユーザーがある服を一目見て気に入ったら、それを「朋友圏」で発信、その中から更に多くのチャンスが生まれる可能性があります。これはかなり面白いでしょう?こういった伝統小売業との結合については継続的にやっていきます。かなり多くの社長さんが興味を持ってくれています。素晴らしいです。

「海底捞」火鍋店における麺のパフォーマンス

「海底捞」火鍋店における麺のパフォーマンス

モバイルインターネットと伝統的産業、私は絶対に結合することができると思っています。現在の3Dプリンターはインターネットとの接続を前提としていますよね。伝統的産業も皆一様にインターネット化を進めています。皆さんが何をやりたいか、各業界の方向性について私ももちろん完全に正しく把握できませんし、インターネットと結合しないケースもあるでしょう。しかし、インターネット的な考え方で物事を進めることはできます。飲食業の「海底捞(新進気鋭の人気火鍋チェーン)」を見て下さい。彼らの中には、インターネット的思考がふんだんに使われています。最高のサービスを創り、口コミで広めていく。できますよね?ひとつの考え方です。

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