日本にいる大学生の皆さんに本気で汗だくで伝えたかった中国のこと

 

若者たち

 

一橋大学 渋沢スカラープログラム

一橋大学の渋沢スカラープログラム(SSP)にお呼ばれして主に二回生と三回生の皆さんをお相手に話をする機会を頂きました。SSPでは三回生の8月から一年間、海外に留学することが義務とされており、今回お話をさせて頂いた三回生の皆さんも、UCバークレイやウォートンなどのアメリカや、シンガポールなど思い思いの場所で学ぶことになるそうです。素晴らしいプログラムです。

そして学生たちを前に話をしていて汗だくでした。

その内容の要点について簡単に皆さんに共有します。

 

夢について

奮い立つ!小米(Xiaomi)董事長 雷軍の台湾での新年の挨拶(前編)

シャオミのCEOであるレイジュン(雷軍)が、今後5年以内にAppleを抜くと話をした際に、Appleの執行役員から「Easy to say, but difficult to do」と言われたことに対して、赤面しつつも「笑われるくらいじゃないと夢じゃない」という話をしたことを引き合いに出しつつ、”若い内は大きな夢を持った方が良い”というメッセージを伝えました。もちろん、外部環境も夢に対しては影響を与える訳で、経済が成長している中でのリスクの取り方と、日本のように経済が低迷する中でのそれとは異なるということと、もちろん自分も学生自分に大それた夢を語っていた訳ではないということも伝えました。

  • 束縛されたくない、自由でありたい。
  • 世界で活躍したい。
  • まだ分からない。

というあたりの意見が出ました。

 

大学で勉強をするか、遊ぶのかについて

MIT, ケンブリッジ, バークレイ3校に合格!驚異的な中国の”学覇”

留学生を含む学生たちに質問をしてみました。大学生活で何をしていますか?と聞いてみたところ、

  • 毎日酒を飲んでます(笑)
  • 大学の4年間は可処分時間が人生の中で最も長いので、仲間たちと遊ぶことも大事な体験だと思っています。
  • (中国からの留学生の立場として)日本に来たのだから日本でできることをいろいろと体験したい。それはそれで自分にとっては勉強になります。

などなど、面白い答えが返ってきました。

中国の学生たちは毎日猛烈に勉強をしているということを伝えましたがピンときたのかな?違う世界の話というように思っていた人も多いかもしれません。

当たり前のことですが、インターネットによって世界は繋がり、日本が世界にとってのオフショア化する可能性があるということを伝えました。かつ、日本は経済を支える基盤である人口構造的が若者にとっては厳しい未来になることを伝えつつ、好むと好まざるに関わらず、そういった世界の中に学生の皆さんも放り込まれているということを伝えました。

 

なぜ、日本にいること、来ることを選択したか?

日本人にはあまりピンと来ない質問だったの思ったので、学生には直接質問はしませんでした。自国民が留学するという観点から、国別で何人留学している学生がいるのかということについて、今朝Facebookのウォールに出た話をしました(数値は厳密ではないかもしれません、記憶頼みなので)。

  • 韓国人の留学生は11万人
  • マレーシアでも4, 5万人
  • しかし、日本は3万人程度

だそうです。韓国人の留学生数を先に教えて、日本の留学生数を聞いてみたところ、「人口が韓国の2倍なんだから2倍いるのでは?」という誰が考えても当たり前と思える回答が出ましたがそれも当然、自分にとってもこの数値は結構驚きでした。学生の皆さんも驚いた顔をされていたのが印象的です。

 

就職をするか?起業をするか?

当ブログでは中国の学生たちが在学期間中に、もしくは名門校を卒業後に起業をする話を沢山してきました。一橋の皆さんは商学部の学生が中心でビジネスを学びたいという思いを皆持っているようですが、挙手を促したところ起業をするという選択を持つ人は一人もいませんでした。一人くらいはいるんじゃないかなと思っていたのですが、これは結構意外でした(就職後に起業するという人はいるような気配でした)。セミナー後の歓談セッションで僕に起業について聞いてくる学生が結構いたので皆さん興味はあるようですし、ビジネスコンテストに応募している方も何人かいらっしゃいました。

自分は学生時代で後悔していることがあって、勉強をしっかりやっておけば良かったと思っていることと、もう一つは起業をしてビジネス、商売のイロハについて体験しておけば良かったと思っています。ネットやクラウドなどのプラットフォームが発達している中で、起業環境はどんどん良くなっています。今は、設備等の固定費などを重く抱えずに事業を始めることもできます。商家に生まれた方は別ですが、理論と実践は全く違います。自分もコンサルと実業と両方をやっていますが、全くの別物だと思っています。”可処分時間”の使いみちの一つとして考えて欲しいですね。

 

モデル企業ってありますか?

オープンクエスチョンで聞いてみたところ、これまた残念だったのですが、固有名詞で上がった企業は某商社1社のみでした。もちろん、二回生、三回生でかつ一年留学をするので、就職は先の話になるということでしょうか。ただ、日本企業の名前がドンドン出てこなかったことは残念でした。

また、スライドには日本の企業をいくつか出しつつ、中国のBATなど有力企業のロゴを貼り付けて、分かるかどうかを聞いてみたのですが、意外や意外、”テンセント”について知らない人が多かった。”wechat”の企業だよと種明かしをして幾分思いついた方もいらっしゃったようですが、中国企業については知られていないことの方が多いなと感じます。アリババやテンセントの営業利益、ファーウェイのR&D投資についての数値を日本企業と比較して説明したところ、みなさん驚いてました。

大部分の学生にとっての中国は”安かろう悪かろう”のイメージが強く残っているように思いました。

 

Tested by Japan, Operated by Japan

日本の製造業、ものづくりは本当に世界で競争力を持ち得るのかという話も皆さんと議論しました。Made in JapanからDesigned in Japanとなり、その後の世界として”Tested by Japan, Operated by Japan”の世界が来るよと少し煽ってみました。弱電の世界で世界で戦える日本企業の名前はもはや挙がりません。そして、自分の経験ですが、重電の世界についても徐々に中国企業に追いつき、追い越された中堅企業も沢山出てきました。大容量の発電や送電・蓄電関係と自動車については強みは残りますが、いずれどうなるか分かりません。

そして、もう一つ、日本企業の海外生産拠点と人”は中国企業を始め、海外企業から狙われていることに触れました。これがTested by Japan, Operated by Japanです。日本企業の海外生産拠点は日本市場に合わせて能力をセットされているため、中国企業から見れば非常に小さなものです。しかし、そこにある生産設備とそれを立ち上げて動かしていく人という資産には大きな価値があり、実際にそのようなM&Aは発生しています。日本の技術者や技能熟練工と日本の設備でハイエンドなものを立ち上げる”試作工場”としての価値はまだあるというお話です。

 

OBS2_Mr.Teramura_2015

 

中国から新たなサービスイノベーションが生まれる可能性

wechatとLINEの違いについての話をしました。細かな機能についての話はしませんでしたが、

  • 中国インターネット企業の競争は苛烈
  • だから全ての企業はこぞってサービスの幅を広げ、質の向上に躍起になる
  • それを支える資金が、資本市場のエコシステムとして完備され、機能している
  • 一方で日本はサービスはボランティア化しており、イノベーションが起こり難い

ということを伝えました。サービスという概念が無かった中国だからこそ、企業はそれを競争力の源泉と考え、結果として皆消費者の方を見ているということです。皆、サービスに飢えているのです。そして、そこに対して今は資本市場から確実にお金が着き、いずれは消費者からお金が着く(マネタイズ)ことになる。すなわちサービスとしての付加価値が”まっとうな形で”生まれる、という考え方です。

こういったことを質問しつつ、自分の考えも伝えました。

 

編集後記

皆さん、海外に飛び出す意志が満々で、目が輝いていて素晴らしい学生さんたちばかりでした。僕の話は記事から拾った出来事をベースにポンポンと質問を投げていく形だったので、その背景にあるストーリーはわかりにくかったかもしれません。僕の伝え方も下手だったかもしれません。ただ、メディアを通してではなかなか伝わりにくい躍動する中国の姿を少しでも感じてくれたら良かったかなと思っています。そして、北米や欧州、シンガポールだけでなく、中国にも留学したいと思う人が増えてくれれば嬉しいです。

自分は話をしているうちに興奮してきて、最後は汗だくでしたが(笑)。

このような機会を与えて下さった一橋大学の皆さん、そして僕を指名してくれたピョーちゃん、この場を借りて感謝をしたいと思います。本当にありがとうございました。自分にとっても本当に刺激的で、元気の出る体験でした!

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