熱血!中国香港の若手起業家に向けたジャック・マー(馬雲)の講演、日本の大震災との意外な関係も

(記事編者より)アリババは香港に特大のお年玉を持ってきてくれました。先日、アリババグループは10億香港ドル(約150億円)の”香港青年企業基金(Foundation For Young Hong Kong Entrepreneurs)”を設立し、香港の若者の起業と、起業家精神の育成を支援することを発表しました。このファンドは香港の若い起業家が阿里巴巴グループのECプラットフォーム上で起業し、その製品とサービスを香港から大陸に持ち込むことを支援します。この他、毎年香港の優秀な大学卒業生200名を選出し、阿里巴巴グループや他の起業での実習を行うことも支援します。

同時に、2015年2月2日、ジャック・マー(馬雲)は、交流会上の中で香港の若者起業家に関する講演を行いました。家庭教師をしたこともあるジャック・マーの講演は天下一品と言わざるを得ません。講演の内容の大部分は、毎回の内容と同じ部分もあり、新鮮であるとは言えません。しかし、会場の盛り上がりは凄いものがありました。下記にその原稿を書き起こしました。皆さん、スープは冷えました。でも味は美味しいままのはずです。


みなさんこんばんは。董先生、ありがとうございます。皆さんと交流できるこの場をくれた香港基金に感謝を申し上げます。今夜はまず、私が広東語を話すことができず、標準語しか喋れないことを伝えたいと思います。広東語、多くの人は、聞き取れますが喋れません。しかし、私は喋ることはできますが聞き取れません。ですので、今夜は中国標準語で喋りたいと思います。ただ、私は標準語で話をすると、やや早口になりがちです。皆さんに内容を理解して頂けるよう、ゆっくり喋ることを心がけたいと思います。

また、私が話すことは必ずしも正しいとは限りません。ただ、皆さんに少し考えて頂きたいのです。同僚は私に、香港の若者に対して教訓を述べてはいけないと助言をしました。香港の若者は教訓を聞きに来たのではないということですね。私が企業してから15年あまりの時間、色々なことがありました。まあ、創業して10数年の経歴をもったひとりの先輩として、皆さんにひとつの考え方を提示したいと思います。ではこの講演の観点に入りましょう。

馬雲 ジャック・マー

 

一つ目の観点です。私はそもそもこのような機会を頂き、ここに立って皆さんに創業の経験を語るなんてことを思ったこともありませんでした。創業当時、私は24人の友人を自宅に誘い、インターネットについての事業についての話をしたことを覚えています。2時間近く聞いてくれましたが、誰一人として私が喋ったことを理解した人はいませんでした。最後に、採決をしました。23人が反対しました。1人だけ、やってみたら?と言ってくれました。私も他人がどう思おうが気にしません。最終的に私は創業することを決めました。

私は最近の若者が良く口にする「資格」というものを兼ね備えていませんでした。学識、知識、能力もありませんし、会計、マネジメントについても勉強したことがない上に、なんとコンピューターのことも分かりませんでした。なんで、創業なんて考えたのでしょうか。私は、大学専門試験の数学で1点しかとれませんでした。でも恥ずかしいとは思いません。本当に恥ずかしくないのです。最も恥ずかしいのは嘘をつくことですから。数学が1点で、大学試験は3回(3浪)しました。中学校の時は重点中学を3校受けてどれも不合格でした。私が入学した学校は杭州市で、最も成績の悪い学校でした。大学は杭州師範大学、これは杭州でも四流大学です。ハーバードよりも重要なんだと思い続けるしかありませんでした。皆が、私には創業できる能力が不足していると指摘しました。学校の成績が悪くても創業ができるという不思議なこともあるものですね。

私は2人の同僚をMBAに送りましたが、どちらも卒業することはできませんでした。とても不思議に思い学校の主任に聞きました。数学の成績が非常に悪かったため卒業することができなかったとのことです。では、試験をパスしたらMBAを取得することができるのか、更に、起業ができるかを聞きました。そういった人々は科学者にはなれるでしょうし、良い職にも就けるでしょう。ええ、私たちは皆、元々そんなに多くの資質に恵まれている訳ではないのです。だからこそ、周囲に成功する可能性がほとんどないと言われても、15年ひたすら歩き続けてきました。今まで歩き続けることができました。これが正にアリババの15年です(その以前は、4年間「中国黄頁(イエローページ)」、対外貿易業務を13ヶ月、その他アルバイトなどをしていました)。

創業当時は私を含めて18人でした。彼らに向かって、もし我々が成功できれば中国の80%の若者が成功することができるはずだと言いました。なぜなら、誰もお金を出してくれない、権力も地位も無い、なんの資源も無い中での成功事例になるからです。私たちは18人で合計50万元(約1,000万円)を出資しました。12ヶ月を凌げる計算でした。その間に資金調達ができれば、継続できるなと。しかし、現実では8ヶ月で資金が尽きました。我々のことを良く思う人もいませんでした。私は、蔡副主席と一緒にシリコンバレーに資金調達に行った時、約30のリスク投資ファンドに全て断られたことをよく覚えています。今まで述べたことはありませんでしたが、この原因の内ひとつは私が書いた全ての企画書が拒絶されたことです。そうです、企画は重要ではありません。自分の事業を諦めずにやり続けることが重要なのです。

アリババの現在は、多くの人の夢や理想、幻想とは程遠いものです。夢は、誰もが若い頃に持っているものです。私は両親が語ってくれたことを覚えています。私は夢をころころ変える子供だったそうです。今日はこれ、明日はこれと。でも、とても正常なことだと思います。夢が無いより良いのです。人民解放軍に入りたい、警察になりたい、KFCのアルバイトですらやりたいと思い、23の応募をしましたが全てに落ちました。警察官は、5人が応募して4人が合格、自分は不合格でした。夢はいいものです。では、理想とは何ですか?理想は、何人か共同で決定する物事であり、企画であり、実践であり、行動です。これは非常に現実的なことです。

アリババを始めた頃、追い続けた夢は簡単なものではありませんでしたし、一方で、幻想でもありませんでした。今は、幻想を見る人が結構いますね。毎日、何の幻想を見ているんですか?行動が伴わなければ意味がありません。私には仲間がいました。18人が私の家で共通の信念を持ち、一緒に歩いて行くことを決めたのです。当時の50万元、もし失敗して、金策ができなければ、我々18人は一緒に仕事を探しに行ったでしょう。それでもチャンスはあったと思います。皆さんには諦められない夢がありますか?行動に移していますか?理想があって、一緒に実現しようとする人はいますか?一人でやるのは大変です。起業は「あなたの問題」ではなく、「あなたと一緒にやろうとする人の問題」なのです

私は今幸せです。起業する4年前、中国イエローページで2年半から3年の職を経て、国の対外貿易業務の臨時業務で13ヶ月、全部失敗しました。こんな失敗、誰も見たことないと思います。アリババを起業してから現在までの15年、私はとても幸せでした。成功もしました。しかし、大部分の人は成功できません。成功の原因はたくさんあります。失敗の理由は似たようなものです。皆さん、起業するのであれば、他の人がなぜ失敗したのかを考えるようにして下さい。決して、他の人がなぜ成功したのかを考えてはいけません。成功の原因はたくさんあるのです。多くの優秀な同僚がMBAから帰ってくると馬鹿になっています。何が原因でしょうか?後から知りましたが、MBAのケーススタディは、「張さんの成功」、「李さんの成功」、「王さんの成功」など、とにかく成功事例を勉強しますね。その後、皆さんどうなりますか?良く分からない、どうもフワフワとしていますね。もう一つ、MBAでは多くの物事を固定化しています。私はアリババを起業する3〜5年前、失敗する会社が出るたびに、その原因を分析し、仲間に展開していました。皆が同じ間違いを犯さないようにするためです。人はそんなに賢くありませんし、それほど変わりません。同じ失敗を繰り返さないことくらいはできるのです。これに尽きます。

アリババについての本ではジャック・マーがどのようにして成功したか、どのようにやったのか、アリババはどうやってきたのかが書かれていますが、実際には同じようにはできないものです。私にだってできない。創業メンバー18人にもできないでしょう。もしできるのであれば、とっくに世界500強企業へ行ってます。できないから皆さんここにいるのです。誰も接待してくれません、慰めてもくれません。これが現実です。しかし、諦めずに、考え、他人の失敗から学ぶことです。これによって、ここまで来れたのです。市場価値がついたのです。巨大なグローバル企業になったのです。

でも実際にはとても心配しています。3, 4年前、皆さんの多くは、アリババがダメで、ビジネスモデル、技術、サービス、製品もダメ、更に偽物商品の問題など、全くダメと思われていました。私は仲間に言いました。自分たちくらいは、他人が思っているよりマシだと思おうと。今、アリババは凄い、中国のプライド、インターネットの奇跡、ECモデルは素晴らしいと言われています。一方で、私たちは他の人が思うほど良く思わないようにしています。アリババはまだ若い会社です。わずか15年です。この15年の成功が未来の成功を約束している訳ではありません。私たちは誰もやったことがないことをやりました。このことで私たちは自らをとても理性的に見るようになりました。他人から良く言われる時、実際には何も良くない。お前たちはダメだなと言われる時、結構良いんじゃないかな。こういう心理で今まで走り続けてきました。

私は今日ここまで歩いてこられるとは思いませんでした。本当の話、今のアリババ人は15年前と比べて確実に能力が上がっています。しかし、出て行く人もいます。チームで出て行く人もいます。時代は変わりました。先週、私はこれから起業を目指す8人の若者の面接をしました。我々は大学を創りました。「湖畔大学」という名前で、起業家を育成することを目的にしたものです。8人の話を2時間ずつ聞いていて、私は一種の感慨を覚えました。15年前に起業して良かったと。今であればすぐに彼らに殺されています。今の若者は確実に私の若い頃よりも優秀です。彼らは、周囲に反対する人がいたとしても、自らを説得し、更に相手を説得し同じ道を歩ませることができるでしょう。これこそが第一の観点です。私はここまで歩いてこれて幸運でした。

Alibaba

 

二番目の観点です。15年前から現在まで、私は根本的に、世の中にこんなに難しく、面倒くさく、キツイことがあるのだと想像することができませんでした。私は、自分に問いかけることをやめることができません。もしもう一度昔に戻ることができるならば戻るか?答えは、戻らないでしょう。ジャック・マー、いつかあなたは成功することができるでしょう。しかし、多くの代償を払わなければなりません。それでも成功したいか?私の心は、成功することを望みません。今日皆さんに話すのは実話です。人は多くの代償を払ったことに対してむしろ素晴らしいことと見るでしょう。実際は、そんなに良いものではありません。皆さんは、成功の側面を見ることはできますが、ミスをした時のこと、失望した時のこと、仲間との間で矛盾が発生した時のこと、政府との間で面倒が起こった時のことを見ることはありません。お金が無かった頃、給料を出せなかった頃、顧客が満足せずに商品が返品されてきた時のことを。皆さんが起業する過程で、多くの成功もあるでしょう。しかし、どれも短く儚いものです。一方、代償は極めて大きく、間違いも無数に発生します。全世界の企業、全てそうです。皆さんは今日、キラキラと輝いている部分を見ていますが、その背後で払い続けてきた代償を見ることはできません。

自分に優しくすることはできます。自分を慰めることもできます。私たちは従業員に給料を払うことができない時にどうすれば良いかを知っています。自分たちにも2,000元、500元しか給料を出せなかった頃、従業員に5,000元の給料を出すと言う人が現れた時にどうすれば良いかも分かりました。会社を大きくしたいという思い続ける希望を持つ一方で、こんなに面倒くさいのは本当に嫌だなと・・。そんな時、何をするかって?大好きな香港ドラマを見るのです。登場する社長は特に忙しくもせずに、葉巻をくゆらせて格好良かった。いつかあんな風にビッグになってやる、そうすれば面倒くさいこともなくなる、と思ったものでした。しかし実際には、会社を大きくすればするほど、面倒くさいことも増え、責任も重くなるのです。小さな部屋で起業した頃とは比べ物になりません。

アリババを創り、多くの人にサービスを提供できたことは、一歩一歩やってきた結果です。他の人がやりたくてもできないことを、やってきたから続けることができたのです。全ての起業家は、世界の起業家は、みなひとつの困難な道をたどってきています。大きければ大きいことの難しさがあり、小さければ小さいことでの苦痛があります。しかし、悪く無いと思います、皆さんは今日から、少しでも何かを変えることができるのですから。私は、この15年で創りだされた私に対する皆さんの幻想を打ち破る実話を伝えたかったのです。ある人は私には知恵があると言います。知恵はどこから来ますか?知恵を持つ人というのは、必ず過去を不遇に過ごしたことがあります。全ての知恵は、とてつもない身体的、精神的な痛みを経験した時に身につくものです。知識があるだけの人間、知的な人間は必ずしも苦しい経験をする必要はありませんが、感情豊かになるためには必ず苦しい時期を過ごす必要があるのです。

 

三つ目の観点です。チャンスは平等にあります。私は、この世界にはチャンスなどないと思っていました。創業開始する前、大学卒業後、私は30の就業機会を活かすことができませんでした。ひとつも採用を勝ち取ることができませんでした。本当に面倒なことだと思いました。たまに李嘉诚さん(実業家)を見て、なんでこんなに凄いのだろうと思いました。ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットを見て、とんでもないな、と。しかし今、彼らと親しくさせて頂く中で、人ってそんなに差が無いものだなと分かりました。私は凄いと言う人はいますが、私の両親は私が凄いと思ったことはありません。私の奥さん、もっとそう思わないでしょう。遠くから見れば凄い、でも近くで見れば変わらないものです。ただひとつ、面白いことは、チャンスは均等にあるということです。

当時の私は、毎日ビル・ゲイツやラリー・エリソンを毎日呪っていました。ソフトウェアをやろうと思えば、マイクロソフトが、ハードウェアをやろうと思えばIBMが出てきます。ショッピングは?ウォルマートがありました。全く面白くない。しかし、よく考えてみると、なぜ李嘉诚やビル・ゲイツと比べていたのでしょうか。皆、苦しい中で生きているわけです。隣の王さん、張くんと比べた時に、張くんよりは優れていればそれで良いじゃないかと。ソフトウェアで全世界の人々を幸せにするのではなく、まずはうちの家族を幸せにすることで良いじゃないかと考えたのです。この転換はとても良かった。

ここ数年、とても光栄です。人生に感謝しています。世界のビジネス界におけるとてつもない人とも知り合うチャンスを得たことはとても素晴らしいことです。彼らと交流して共通して感じたことを皆さんにシェアしましょう。まず、彼らは極めて未来に楽観的です。第二に、彼らは文句を言わず人のせいにはせずに、自分の事とします。第三に、諦めないという点でずば抜けています。この要素がなければ、大きなことを達成できません。

まず楽観的になること。楽観的でないと創業はできません。私は自分を楽観主義者であると思います。私が知っている経営者たちはみな非常に楽観的で、今よりも未来が素晴らしいものになることを信じて疑いません。2008年の金融危機の頃、多くの同僚に伝えました。これはチャンスだと。とうとう今まで凄かった奴らが倒れ、我々にチャンスが回ってくるぞ、と。

alibaba

皆さん、考えてみてください。あなたが認めるかどうかに関わらず、現在は困難であったとしても、10年後に成功している企業は今よりも多く、10年後のお金持ちは今よりも多く、10年後に聞いたこともなかった有名人が今よりも多くなっているでしょう。人類は問題を解決していきます。全ての成功者は面倒なことにぶつかり、ミスを犯した後、まず自分を振り返り、上手くできなかったことを修正します。本当に成功する人は自らを変え、他人を変えようとしない人です。以前の私は多くの若者と同じく、「こんな世界」、自分が総理だったらこういう風にしたし、総統だったらこうしたのになと考えていました。でも、現実は違うでしょう?世界を変えるような仕事は、総統、総理、主席のために残しておきましょう。自らを変えていくことこそが重要なのです。世の中が良い時にはダメな企業が、良くない時には凄い企業が出現します。私自身この道理を理解しました。

私が生まれ、父親が私を変えようと思って30年間、結局、私を変えることはできませんでした。更に、自分で時間を使い、若者として衝動的にやりたいと思うこと、全部やってきました。数年前、大陸に一つの番組がありました。「赢在中国(Victory in China)」というもので、私は創業委員をやりました。多くの若者が憧れること全て描かれており、私もやってみたいと思いました。重要なのは一点、自分を振り返り、自分を変えるのです。

そして、文句を言わないことです。人の悪口を聞くと面白いでしょう。でも、私は人の悪口を聞いても、自分のやるべきことをやるだけです。小さい頃、読書の成績が悪いのがなぜなのか悩みました。成績が良い人間は毎日外で遊んでいました。どうして遊んでいるの?と聞いたところ、読書なんてせずに遊ぼうよ、と言われました。結果、皆は家に帰って読書をし、自分はバカみたいに遊びまわりました。人の文句を言わないことです。実は、文句や批判の中にこそチャンスがあるのです。文句があるなら解決してしまえばいいのです。アリババに戻ると、創業当初から中国での輸出事業は非常に難しいと言われていました。輸出をしたい人は広州でのビジネス交流会(広交会)に必ず参加する必要がありました。広交会に行こうと思っても、資格不足ということで申請は却下されました。なぜ、インターネット上にユーザーが直接売買するためのプラットフォームのがないのだろう?と考え、ひとつのアイデアが浮かびました。そして現在まだ諦めずに走り続けてきたのです。成功する人は文句を言いません。文句を言うとすればそれは自分にとってではなく、仲間の立場で、同業者の立場で、です。更に、解決できないただの幻想としてはの文句ではダメです。着実に解決に向けて実行するしかありません。

今日、皆さんはアリババは凄いと言います。実のところ、私たちは1万回もやりたいことを諦めてきています。立ち上がらないことも多くありました。しかし、考えに考えを重ね続けることで、今日に至りました。そしてまた生き残るのです。不思議ですね、多くの物事が24時間で変わってしまいます。人生は簡単ではありません。高みに来たと思って一歩踏み出した途端に何もなくなってしまいます。しかし、後戻りする方が難しいのです。私は、面倒なことが発生し困難に直面すると、一度寝て、次の日の朝起きて考えるようにしています。諦めないということはこのように簡単でもあります。

問題は、衝動的(ヤケクソ)になる時です。もし近くにいる人に、最近のあなたはヤケクソになっていると言われたら、一度離れてみることです。多くの人は、諦めてヤケクソになった時には、2分後にもう一度考えてみるのが良いと言います。また、諦めたくない時にも同様に2分間の時間を置くと良いと言います。人は脳で考えることができます。以上が三つ目の観点です。チャンスは平等です。あなたに見えるかどうかです。あなたがどのように実行するかです。チャンスを掴むということを学べましたか?基本的に、諦めないことです。楽観的であることです。他人のことを考えることです

 

さて、四つ目の観点は、香港のチャンスの今とこれからについてです。最近、大陸で大変流行した言葉があります。「風が吹けば、豚でも飛ぶ」。豚です。Pigですね。もし皆さんが良い風がくる場所にいるのであれば、ひとたび風が吹いたら豚でも飛ばすことができます。だから多くの人が良い風を探しています。どこにチャンスがあるのか、どこからチャンスが来るのか。風が来れば、豚も飛ばせます。しかし、風が過ぎてしまえば、みな落ちてきた豚にぶつかって死んでしまいます。豚は自分を変えることはできまえん。自ら歩むべき道を創り出すこともできません。他の人が成功したのを見て、自分もそのチャンスに乗ろうとすることではダメなのです。本当に豚のような人もいます。チャンスが通り過ぎていったのに、全く見えない人たちです。もっと酷いのは、チャンスを手にしたにも関わらず、それを災難に変えてしまう人です。

今日の午後、多くの友人から、香港の若者にとってどのような技術や才能があれば起業できるかということを聞かれました。本当のところ、香港にはチャンスが比較的多くあります。多くの香港の若者がアリババで実習をするのを目にし、交流をしましたが、何も言うことはありません。彼らは知識をたくさん持っています。Knowledgeableです。香港の地政学的な位置、グローバル化された世界における金融機能があります。整った法治、素晴らしい教育。大陸には皆さんのように優秀な素質・環境を持つ学生は現時点ではそれほど多くありません。ただひとつ、香港の若者たちは一歩踏み出そうとしていないだけなのです。今日の香港には面倒なことになっています。しかし、世界中に面倒なことはあります。ヨーロッパには面倒なことはありませんか?アメリカは?日本は?大陸は?どこにだってあるんです。私の父親にだってあります。祖父にもあります。どのGenerationにもあります。どの国のどの地区にだってあります。面倒なことなど何もないと言っている成功企業がありますか?私にはこの2日間で面倒なこと(工商総局とのやりとり問題のことと思われる)がありましたね?

面倒からは逃げるのが良いのでしょうか?面倒なことがあれば誰かを罵りますか?それとも自分で解決しますか?多くの人は文句を言う時に、一方では、このまま文句を言い続けるのだろうか、それとも自分を変えるべきだろうか?と思っているはずです。香港のチャンスについて、私は皆さんを慰めに来たわけではありません。そんな能力も持ち合わせません。ただ、皆さんに言いたいのは、この瞬間、15年前よりも確実にチャンスは多いということです。社会は大きく変わりました。インターネット時代は整い、デジタル時代は始まったばかりです。今、社会はIT時代からDT時代に移り変わっています。

イギリスの蒸気機関の発明によって第一次工業革命が起こり、人類は身体能力、筋肉の量、脚力の限界から解放されました。結果、イギリスは社会を支配し、急速に発展しました。そして機械化を急速に進めました。たくさんの工場が生まれました。イギリスはスペインを倒し、オランダを倒して急速に成長しました。第二次工業革命はアメリカによってもたらされ、製造業の大規模化、標準化、ライン化、サプライチェーン管理、ITにより、再び人々は限界から解放されました。では、ハイテクは就業機会を失くすのでしょうか、創り出すのでしょうか。実際には、第一次工業革命、第二次工業革命の中で、無数の新しい就業機会が生み出されました。このIT, インターネット時代、人間は脳の限界から解放されます。考えてみてください。人類が身体の限界の解放を初めて200年、脳の解放が始まったのです。今までは製造業の時代、これからは創造の時代と言っても過言ではありません。

今日、皆さんにしっかりと記憶していただきたいこと、それは今話をしている内容は皆さんの親は決して聞いたことがないということです。私は今まで父親と数多く論争をしてきましたが、父親の立場で分かったことがあります。自分が子供に対して間違っていた。子供に対してあれやこれやと指導をしてきましたが、実際には子供の方が色々なことをよく知っている。ただ彼・彼女は私と論争がしたくないだけなんだ、それが現実なんだと。

今、多くの座って見ている方々、私は皆さんに対して人生経験では勝っています。確かに我々(年配者)はその点では凄い。しかし、多くの年配者は皆さんの知識量には勝てないのです。インターネット、君の過去は凄かった、しかし今の勢いは別のところにあります。IT革命、デジタル製造業、全てが変わってしまいました。ずっとチャンスがありませんでしたか?誰がテンセントや、百度、小米、淘宝(タオバオ)のような企業が出てくることを想像できました?IBMが生まれた頃、私にはソフトウェアが現れることは予想できました。しかし、ソフトウェアの出現以降、その後に何がでてくるのか想像することはできませんでした。Yahoo!の後にGoogle、Googleの後にAmazon、Amazonの後でFacebook、Facebookの後でアリババ、アリババの後に続く企業は確実に出てきます。皆さん、ただ皆さんが理想を掴みとろうとするかだけです。皆さんが、一緒に理想を行動によって実現する仲間を見つけようとするかだけです。成功者は皆この道を通ってきたのです。成功したいと思うなら、家を買えるようになりたいと思うなら、家を必死に追い求めてはいけません。自分を変えることです。他人の困難を変えることです。私は自分の子供を変えることはできません。しかし私自身を変えることはできます。私が変われば、世界が変わるのです。

馬雲

 

最後に、創業と全く関係ない話をします。日本と雲南省でほぼ同時に大地震が起こった時のことです。私は会社で、従業員に寄付を募りました。我々経営者としてまず寄付をしました。雲南省に300万元(約6,000万円)、そして日本に対して同額の300万元を寄付しました。このことを巡って社内は大論争となりました。なぜ日本に寄付をする?雲南省の寄付額は少ないのでは?日本と雲南省とが同額でいいのか?など、紛糾しました。応じる人も応じない人もいました。私は皆を前にして言いました。まず、寄付に応じること、応じないこと、これはどちらも正しい。次に、この300万元は誰に対してのものなのか。皆さんひとりひとりの30元もしくは300元では、被災地の状況を変えることなどできません。皆さんの寄付は、皆さん自身を変えることに繋がるのです。皆さんが行動することで皆さんが変わります。皆さんの変化は、世界の変化なのです、と論じました。

皆さん、起業したいのであれば、行動しましょう!多くの若者たちが、夜中に考え込んでは翌朝同じ道を歩いているのを目にします。こういうことはやめましょう。結局はトラブルや面倒なことを引き寄せるだけです。私の15年、トラブルだらけでした。もうこれ以上の面倒を引き寄せたくはありません。起業するということは、昨日の状態を変えてしまうということです。95%の創業者が失敗します、聞いたことありますね?5%の創業者の死も目にするでしょう。たったの1%だけが成功します。この1%の成功者は、必ず強いチームを持ち、お互いに信頼関係があり、共に努力をし、楽観的で、自らを変えていく力を持っています。このことを本当に伝えたい。皆さん、必ずこのような条件を持って進めて下さい。そうでなければ、95%の中で死んでいくのです。もし、自分が社長になりたくない場合は、良い社長を探して下さい。そうですね、アリババみたいな会社は如何ですか?

今日は皆さんに会えて良かった。
またこのような時間を持ちたいと思います。
ありがとうございました!

出所:財経網


ジャック・マーCEO退任時のスピーチ

 

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