日本企業を狙う”爆買い” 鴻海がシャープ出資断念、サムスンはパネル工場を買収?

 

シャープ

台湾の鴻海精密工業(iPhoneの製造も受託しているフォックスコングループの中核会社)がシャープ本体との資本提携についてあきらめたとの記事が今朝日刊工業新聞から報じられました。産業革新機構(INCJ)や主力取引金融機関からの2,000億円規模の資本支援を受け入れることを受けて、鴻海が打診していた3,000億円規模の出資の交渉について期限の自動更新を行わずに打ち切りとなりました。

 

「あきらめた」-台湾・鴻海精密工業、シャープとの資本提携を断念(日刊工業新聞)

 

そして、この報道は台湾・大陸の双方でまだ記事になっていないということも不思議ではありますが、ほぼ同時刻に中国の”中原家電”というメディアより、驚きの報道が出されました。

 

液晶之父沦落到卖老本?传三星洽购夏普面板厂(中原家電)

 

これは、韓国サムスン電子が、現在鴻海の会長である郭台銘がシャープと共に全株式のマジョリティを保有し(マイノリティ株主は凸版印刷、大日本印刷)、事実上共同経営する形になっている”堺ディスプレイプロダクト株式会社(SDP)”を買収対象としてリサーチに入ったという内容の報道です。

 

SDPは元来シャープが堺市に第10世代の60インチ以上の大型液晶パネルを生産する工場として立ち上げ、現時点で世界最高世代の液晶パネル工場として知られています。2012年に鴻海の董事長である郭台銘個人の形式で出資を行い、現時点で郭台銘個人の投資会社であるSIOとシャープがそれぞれ37.61%を保有しており、仮にサムスン電子がシャープやその他凸版印刷、大日本印刷の持ち株を買収することに成功すれば、鴻海は世界最大のライバルのひとつと共同でこの生産工場を運営することになります。

 

ちなみに、このサムスン電子によるSDP買収に関する報道が流れたのは、中国大陸の液晶パネルの雄である京東方(BOE)が400億元(8,000億円)を投じて10.5世代の液晶パネル生産ラインに投資することを発表するタイミングとほぼ同時刻でした。BOEの工場が完成すれば世界最高世代の工場となります。この工場は2015年12月末まで、遅くとも2016年3月31日までには着工され、2018年9月末までには竣工することが計画されています。

 

上述した中原家電の記事は、”液晶の父が落ちぶれた”という表現で書かれていますが、亀山品質で売りだした鳴り物入りの小型液晶ペパネル工場は既に大陸メーカーの南京熊猫(南京パンダ)に売却されており、第10世代パネルについては台湾資本、そして韓国財閥のM&Aの格好の餌食になっている現状は、時代の流れとしても日本人としても寂しい気持ちになります。しかし、シビアな見方をすれば、このSDP、郭台銘個人の資本が入り共同経営体制となってからはそれまで赤字が続いてきたものが黒字転換しています。

 

中国大陸と台湾のメーカーは核心技術を持つコアパーツではなく、川上の原材料、もしくは川下のセットを基軸に成長してきた企業が中心です。その後川下企業は巨大な物量をベースに規模の経済を働かせコストダウンに成功し欧米・日本のブランドホルダーからの生産を受託、川上企業は海外からの技術を学び川下展開を行ってくる中で、円安も相まって日本のコア部品を持つ総合メーカーがちょうど良い買収対象となるという構図です。

 

コストダウンに終始し新しい体験を持つ製品を生み出すことができずにコア技術だけでなく本体すら買収対象となってしまうシャープの事例は決して彼らだけの問題ではなく、日本企業全てに関わってくる問題なのです。

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