”爆買い”からは見えない中国人投資家の姿と日本市場への狙い

上海の高層ビル群

ひとつのミッションとしての中国人投資家との接触

今回の上海出張についてはいくつかの大きなミッションがありました。その全てについて非常に良い形で話をすることができました。その内のひとつが日本のテクノロジー企業に対する買収・出資案件です。バックには中国人の事業家でもあり投資家がついています。彼らと会って、具体的なスキームとプロセス、マイルストーンについて協議することが今回の大きな目的でした。

 

中国人投資家のバックグラウンド

中国人投資家は実業で財を成した人物です。上海市の郊外にある第一工場の脇には彼のオフィス兼自宅もあり、そこで話をすることになりました。以前は日本の製造業で働き、その後浙江省の寧波市で創業、環境が思わしくなかったこともあり、上海に製造設備を移して今のビジネスを軌道にのせたということです。現在ではある部品について日本企業のOEMを行っており、市場シェアは80%を獲得しているというから凄いものです。

彼のオフィスで初めて握手をした時の寺村に対する一言は「あれ?中国人じゃないか?」というものでした(笑)。話は逸れますが、今回の出張で久しぶりに再会した現地の日本人の友人のほとんどから、雰囲気や風貌がどんどん中国人化していると言われました。これで中国のビジネスマンの心がつかめるんですから、良いことと思ってます。

 

見かけとは正反対の戦略性

さて、話を戻して中国人投資家との会議についてです。彼、日本市場の80%の部品を作っている製造業の社長でもあり、投資家でもあり、オーストラリアに豪邸を保有している人間でもありますが、見た目は至って普通のおじさんです。ダボダボのTシャツを着ている姿は、彼の背景を知らなければ上海市の中心部にいるオシャレな若者たちの方がよっぽどお金持ちに見えます。

しかし、頭脳は非常に明晰で、語りも熱く、人懐っこい。ビジネスの話をしている時の目線は非常に鋭く、試されているような感覚があります。日本企業に対する資本提携話は簡単ではありません。現在、日本は金融機関からの流動性が厚く、売り手1社に対して買い手が10社つくという状況の中で、外資からの話に乗らせることは至難の技です。投資家に対するアドバイザリーとしては、①その現状を理解してもらうこと、②理解した上で一緒に対策を考えてくれることが非常に重要です。

①については日本での経験もあることから非常に理解が早く、②についてもお金と市場を持っていること以外のストーリについてもそのリソースを提示してくれ、非常に緻密な提携戦略を描くことができました。見た目は農民、しかしキレキレのアタマ、人に対する熱心な接し方、このギャップにはいつも驚かされます。しかし、まさにこれが中国なのです。

 

試されるビジネスマインド

今回はこの投資家がカウンターパートであり、彼と彼の背後にいる投資家を動かすことがメインです。そのために、寺村側もチームとして動いています。今回の案件を紹介してくれた上海語も理解する現地の日本人、そしてもう一人は上海人のエリートです。彼はオーストラリアに留学経験があります。彼が中国人投資家を動かすためのシナリオを描いています。そして私ともう1人の日本人とで日本企業側へのストーリーを描き、説得するというのが役割です。

寺村は、中国人投資家と、上海人のエリートとの話の中で常に試されている感覚があります。彼ら2人は上海人であり話し方が速いことも相まって、少し油断していると肝心なところを聞き損じたり、聞き間違ったりしがちです。もちろん、大事なことなので、聞き返したことに対しても丁寧にもう一度説明してくれますが、やはり言葉の部分はベースとして、しっかりと内容について価値のある提案ができなければ、彼らにとって寺村とGroo Inc.と組むメリットは感じられないということです。こういった環境で議論ができるのは非常に刺激的ですし、楽しいです。

 

市場と技術の交換だけではない新しいスキーム

いずれにせよ日本企業のロングリストは既にできており、その中で優先順位付けも完了しています。また、帰国直後の先日にプレコンタクト用の資料を書き終えています。後は、週明けからのコンタクトに対する反応がどうなるか?です。

今回のスキームは日本の技術と中国の市場という単純なスキームではありません。中国人の投資家が張っているポートフォリオは日本人が考えるよりも遥かに広く、中国以外のリソースを引っ張ることができます。この部分について理解していない日本人は少なく無いでしょう。今回、資本提携先の日本企業が行う国内の事業についても利益率を改善する仕掛けを埋め込むことができます。

こういう話がゴロゴロ転がっているのが今の中国です。もちろん株式市場は低迷し、不動産もイマイチパッとしませんが、一方で現金化された人民元と、その先に展開されたポートフォリオを組み合わせることで日本企業にとっては思いもしなかったモデルをつくることができます。全てをここで語ることはできませんが、必ず結果につなげますので、その中身をお楽しみに!