中国進出25年のカルフール。一等地への巨大倉庫型から大きく業態転換・利益拡大。再び巨象が歩みだす

2019年2月28日に家楽福(Carrefour:カルフール)グループが2018年の業績を発表しました。全世界での総売上高は前年比1.4%アップの850億ユーロで、中国地区における業績も非常に良く、当該地区における経常利益は前年同期比11倍の3.5億元と回復しました。状況を具体的に見ていきましょう。

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中国事業は回復、リストラと新業態開拓による

グローバルで利益が回復した理由についてカルフールグループは、従来型の大型店舗についての改造、Le Marcheなどの新業態の展開、不採算店舗からの撤退などを挙げています。

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新業態の"Le Marche”とは

さて、その新業態についてですが、2019年3月11日にカルフール中国は華南地区で初となる新業態”Carrefour Le Marche”を開店しました。そのLe Marcheは遡ること2018年12月に開店した深セン店では既に3ヶ月が経過し、売上は順調に拡大しているとのことです。

La Marche業態は、面積が4,000㎡と中規模で、生鮮と惣菜と飲料、更には輸入有機商品を中心としたラインナップとなっており、決済手段は、セルフ、カメラによる顔認証、微信のミニプログラムによるQRコードスキャン、電子タグの4種類の新技術が用意されています。この業態は、中国だけでなく世界で主流の形態に育てていくとされています。

また、カルフールは、中国で”Easy”と呼ばれる小規模業態の拡大も進めています。コンビニサイズのこの業態を2022年から5年間でグローバル各国あたり2,000店舗まで出店していくことを計画しています。

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カルフールは中国でテンセントと協業

カルフールグループの副総裁で、中国地区総裁兼CEOであるThierry Garnierは、21世紀経済報の貴社に対し

中国小売業界は、他国に対して先行事例としての意味合いがあり、実験室としての位置付けも兼ねています。中国のスマートフォンの発展状況は世界をリードしています。カルフールもテンセントと共に、デジタルマーケティング、決済、消費者信用システム、新業態、クラウドコンピューティングなど7つの方面で協力関係にあります。

と答えています。世界の先陣が中国できられているということです。

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京東(JD)とも協業、顧客流入経路を拡張

カルフールが中国に参入して既に25年が経過しています。GMSとして一等地に巨大な店舗(中国では”大売場”と言う)を構え、中国経済の発展と共に栄えてきました。しかし、2010年以降、ECの発達に伴い”大売場”の魅力は低下、消費者は次第に離れていきました。

一方で2017年年初頭、アリババは銀泰を買収・非公開化することに始まり、上海百联グループと契約を交わし、百联傘下であった上海联華スーパー、復権新華联へ出資、更には高級スーパー・グループである高鑫零售(大潤発、欧尚)にも出資、テンセントも永輝に出資するなど、中国メガECがO2Oのエコシステムを構築していきます。カルフールはテンセントエコシステムの一員となったという訳です。

2016年に業績が底を打ったカルフールはその後京東(JD)とも手を組みます。京東のリアル店舗”京東到家”との協業することにより、中国全土31都市で200店舗のネットワークとなったカルフール、協業の1ヶ月後の売上は7倍に成長しました。

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ニューリテールに向けた取り組みも

カルフールによれば、会員数は既に1千万を超えており、2018年10月の時点で”カルフール・チャイナ”のみにプログラムへの訪問回数は2億回に達し、DAUは30万に達したそうです。このミニプログラムによるQR決済からの売上は既に3.4億元を突破したとのことです。

他の取り組みも進んでいます。”生鮮食品+加工・調理+レストラン”を一体化した体験型店舗を新業態として開発しています。そうです、アリババの”盒马生鮮”と全く同じですね。カルフールもこの領域に進出していきます。

かつての一番立地への大型倉庫型店舗というイメージはどこへやら。カルフールグループの挑戦は中国を巨大な実験場として進んでいくことになりそうです。中国新時代O2Oの戦いの幕は切って落とされたところです。

中国ニューリテールに関する記事はこちらをご覧ください。

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