巨大合併!中国の二大タクシー配車アプリ企業「滴滴」と「快的」が株式交換、シェア95%以上に

2014年は中国で、タクシーの「配車アプリ元年」と言えるでしょう。スマホにアプリをインストールしておけば、位置情報をベースに近くにいるタクシーを簡単に呼ぶことができるものです。

滴滴打車の画面、表示されているポイントはタクシーの位置を示す
滴滴打車の画面、表示されているポイントはタクシーの位置を示す

中国では、通勤時間帯に繁華街でタクシーを拾うことは至難の技です。タクシーの総量は日本と同様に規制されていることと、中国のサラリーマンは比較的決まった時間に通勤しているから、ピークを避けることができません。雨の日などは、タクシーの総数自体が減るために更に車を捕まえることが困難になります。

しかし、このアプリを使うことにより、運転手は最寄りで、かつ自分が行きたい方向の顧客の存在を知ることができ、かつアプリを使用して顧客を拾った場合に、幾ばくかのキックバックが入ることから、運転手側にインセンティブが働き、サービスとして機能しました。

さて、その配車アプリのツートップ、合わせて95%以上のシェアを誇る「滴滴打車(テンセントグループ)」と「快的打車(アリババグループ)」がバレンタインデーに合併に合意したことを発表しました。快的打車には日本のソフトバンクグループも巨額の出資をしています。

背景に中国の巨大インターネットグループである、テンセント(QQ, wechat)、アリババ(タオバオ、T-Mall)がおり、更に日本のソフトバンクグループやシンガポールのテマセク・ホールディングスなど、グローバルな投資グループが蠢くだけでも凄い話です。また、95%以上の市場シェアが独禁法に当たらないのかなど興味は尽きません。しかし、それだけではないのです。新会社の総裁に就任する女性、この方が只者ではありません。正に時の人です。この巨大M&A、表面的なニュースは多いと思いますが、その裏側に何があるのか、ご覧下さい。

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滴滴、快滴は共に歩んでいくことを発表、ハイヤー市場を占領(新華網)

「滴滴打車」、「快的打車」の合併について、今日2月14日ついに結論が出た。午前に両社は連名で声明を発表、戦略的合併を実現することを宣言した。持ち株比率は未定だ。

記者が取材した限り、タクシーの予約アプリから入手した代金チケットや優遇チケットにはひとまずは影響が無いとのこと。

連合CEO制度、持ち株比率は未定

新会社は「Co-CEO制度」を採用。滴滴打車のCEOである程維と快的打車のCEOである呂伝偉が同時にCEOを担い、両社の人事構造に手を加えずに、並行的に発展させる。また互いのブランドと業務は独立性を保つことになる。

持ち株比率と新会社の企業価値は未公開

滴滴打車と快的打車を合わせた企業価値は60億ドルに達するという情報がある。これは、アリババとテンセントの平均持ち株価値からの計算だ。快的の呂伝偉CEOの社内に対するメールの中で、両社の合併は株式交換方式で行われ、現金のやり取りは行われないとのこと。更に、合併後、上場計画についての日程も告知される。

呂伝偉CEO曰く、都市におけるモバイル配車サービスの領域は発展の可能性が大きく、両社は既に同様の戦略を持っている。これが2社が合併を決めた原因であるとのこと。また、現状の熾烈な価格競争が続くことは望ましくないと考える両社の投資家の意向も働いた。財務的な原因以外に、合併をすることにより大幅に機会損失を回避することができる。

配車アプリの巨大合併

合併の背景、両社の合併にはわずか22日間

記者が滴滴打車の所在地である北京にて取材した結果、滴滴打車の内部では今日(2/14)CEOの程維からメールが社内に出されたとのこと。内容は、「我々は快的と一緒に歩む。テンセントとアリババを一緒に引っ張っていく」とし、今回の合併が「全国民に対するバレンタインデープレゼントだ」としている。メールでは更に、程維と柳青、Stephenは、深センにて極秘プロジェクト「バレンタイン計画」として立ち上げ、バレンタインデーまでに完了することを目標としていたことを明らかにした。この両社の戦略的合併にまで要した時間はたったの22日間であった。

更に、程維CEOが快的の呂伝偉CEOと共にCo-CEOに就任すると同時に、柳青が総裁になることが明らかにされた。これは過渡期の状態で、その間に業務と組織の統合を目指すとしている。この内部統合業務は6ヶ月で完了することを予定している。また、合併後のマネジメントチームは新会社に対する絶対的コントロール権限を保有すること。その権限は、2大投資者であるアリババとテンセントに授与されるということだ。

程維CEO曰く、この合併には中国における3つの新記録を創ったとのこと。中国インターネット企業における最大のM&A案件、最速で中国インターネット企業ベスト10以内の企業を設立したということ、更に2つの巨大な株主の意見をまとめた案件であるということの3つである。

2社によるタクシ配車市場の占領?

業界専門家によると、タクシーコール市場は寡占市場であり、快的打車、滴滴打車は、UBER、易道用車などと相対することになる。快滴打車と滴滴打車の2社は運営の比重をハイヤーサービス領域に置き、現在のアプリを使用するユーザーがハイヤーサービスを利用するように誘導するようだ。滴滴打車の投資者であるGGVキャピタルマネジメントパートナーズは、両社が合併することで互いが持つ資源を有効に活用することができ、競合他社に差をつけることができるとのこと。

既に配車アプリの累積アカウント数は1.72億人に達する
既に配車アプリの累積アカウント数は1.72億人に達する

また、(2社の配車アプリ市場シェアが90%を超えることについて)独占禁止法に当たるかについて、快滴打車の副総裁である陶然は否定する。都市部における配車関連サービス市場は非常に大きく、タクシー、ハイヤー、代行運転、公共バス、地下鉄などが存在する中で、2社のシェアは大きいわけではなく、かつ業界内には多くのプレーヤーが参入しており、独占禁止法には当たらないとの認識を示した。

その他、タクシードライバーへのキックバックについては、市場の状況を見ながら調整を行うことは匂わせつつ、2社が合併したからといって、すぐに廃止されることはないとのこと。

海外メディアの調査では、2013年に中国には1,800万人の配車アプリユーザーがいたのが、2015年には4,500万人まで増加。この大型合併は史上空前の行為であるとしている。


 

記事にあるように、バレンタインデーまでの22日間の「電撃婚」と表現される今回の巨頭合併ですが、当面6ヶ月は、2社のCEOが、CEOを続けると同時に、柳青総裁を立てて、互いのブランドと業務を残しつつ、内部的に統合作業を進めるということのようですね。では、もう少し、お金や法律的側面から見てみましょう。同じく新華網の記事からです。

 


 

滴滴と快的の合併は独占禁止法に当たるか?(新華網)

業界専門家によると、「22日間での電撃婚」の理由は大きく3つあるとのこと。合併後に上場しIPOでのリターンを手に入れられること、ハイヤー、リース市場の開拓が行えること、資源を統合することによりネットワーク上での経営効率を上げられることだ。

配車アプリの熱い戦いが始まって1年強、表面上は、滴滴と快的が戦線を拡大したように見えるが、実際にはその背後でテンセントとアリババが手を組んだことが大きい。現時点で、快的は4回めの増資を行っている。2015年1月に、総額6億ドルの出資を日本のソフトバンクグループとアリババグループから受け入れている。一方で、滴滴は2014年12月にシンガポールのテマセクと、国際投資グループのDST、更にはテンセントから7億ドルの資本注入を受けている。(注:だからこそIPOによるExitを求めているということ)

南京大学商学院副教授の呂伝偉氏は「快的と滴滴は表面上の戦いだが、裏ではアリババとテンセントの戦争だった」と言う。2社は互いに繰り広げる消耗戦に意味が無く、勝者を生まないということに気づいたという。

独占禁止法についてだが、配車アプリの90%以上を握るこの2社の合併がどうなるか?3年前の「优酷」と「土豆」という動画サイトのケースが思い出される。当時、業界トップ1, 2位が合併し、インターネット動画の業界が調整局面に入った。このケースでは、競合他社には、一定の競争力が存在したため、独占禁止法における「絶対的な地位」とは認められなかった

華泰証券のアナリストによると、滴滴と快的は短期的には市場における「絶対的地位」を持ち得るが、目下、配車アプリの普及率が低いこと、また競合他社の数が多いことなどが考慮されるはずだとのこと。「51用車」のCEO李華兵曰く、タクシー、ハイヤー市場は非常に大きく、その点からすれば滴滴と快的の市場シェアは大きいとは言えず、独占禁止法には当たらない。例えば、北京には7万台のタクシーが走っているが、滴滴を使用しているタクシーはその内1万台にも満たないという。


編集後記

配車アプリの市場としては95%を超えるシェアを持つ2社ですが、その対象範囲であるタクシーやハイヤー、リース車などを含めて考えるとまだシェアは小さいという認識ですね。競合他社も認めていますので、問題なく話は進んでいくように思います。

合併後の新会社の総裁に任命されることが決まった柳青、正に時の人です
合併後の新会社の総裁に任命されることが決まった柳青、正に時の人です

が、それは実は表面的な話であって、今回の話の黒幕は、テンセントでもアリババでもないのかもしれません。この新会社の総裁に就任する柳青女史の存在です。彼女は、「IT界のゴッドファーザー」と呼ばれる、联想(Lenovo)ホールディングスの総裁である柳伝志のお嬢さんで、ゴールドマンサックスにおいて最年少のパートナーとなった鳴り物入りの女性です。彼女は2014年7月に12年の投資銀行における経歴を終え、滴滴打車に入社、半年後に総裁に任命され、更にこのバレンタインデーにおいて新会社の総裁に就任することが発表されまた、正に「時の人」です。

メディアが取り上げて止まない柳青総裁について、次回取り上げますのでお楽しみに。

 

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