タオバオ個人輸出の聖地となるか?7つのモデル都市に杭州が追加批准

 

「海淘(ハイタオ)」という言葉を耳にされたことはありますか?2015年の春節シーズンは中国人の「爆買い」というキーワードを生み出しましたが、中国から見て日本を含めた海外製品を個人ベースで並行輸入し、中国国内のECサイトで販売して利益を稼ぐことを意味する言葉です。「海」外製品を「淘」宝網(タオバオ)で販売するので「海淘」と言う訳です。日本では爆買いによる品薄で国内流通に影響が出て品薄状態や値上げと言った悪影響が出ていることや、留学生や専門職員などが資格外活動として海淘を行った結果として入国管理局に検挙される事件が発生していますが、中国政府は基本的にこの活動について前向きに取り組んでいます。

 

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ポイントとなるのが2013年8月29日に国務院が商務部など9部門の意見を取りまとめて発表した「越境EC小売輸出に関する政策意見」に基いて、同年10月1日に、上海、重慶、杭州、寧波、鄭州が越境ECモデル都市として新規に認定されたことです。その後、広州、深センの2都市に拡大され、合計9都市がモデル都市として指定されました(蘇州、青島、長沙、平潭、銀川、牡丹江、ハルビン、西安の9都市が追加されたという情報もありますが、輸出に限ったモデル都市という情報もあり未確認です)。

 

それまでの違いとして、販売者、顧客の視点として、

  • それまではEMSベースで顧客に物を届ける。
  • 顧客は郵便局で受け取る際に税金を払う。
  • 基本的に納税額が500元を超えなければ払う必要は無かったが、基準が曖昧。
  • 顧客が想定外の税金を支払う必要がり、リスクが顧客側にあった。
  • 結果として販売側も顧客の満足度を確保することが難しかった。

 

のですが、

  • 今後は商業物流と同様の保税倉庫に保管。
  • 倉庫業者と販売者は在庫データを共有。
  • 税関検査の結果によって販売者側が税金を支払う。
  • リスクは販売側に移り、顧客は一定の価格で商品を購入することが可能。
    (もちろん例外はあり、顧客側にリスクを持たせるケースもある)
  • 顧客の満足度のコントロールが比較的やりやすくなった。
  • 保税区内で顧客に直接販売するやり方をとった場合、CFDA(商検局)の目を逃れて許可がない商品を販売することが可能性としてはとり得る(ブラック)。

 

という状況に変わりました。中国政府側の視点として、今後、「海淘」を積極的に推進し、中国の消費者の消費意欲を刺激しつつ、EC業者や販売側からしっかりと税金を徴収して経済に循環させるという意図が背景にあります。 穿った見方をすれば、中国企業のブランド力がなかなか上がらない中で外資企業がそのブランド力、商品力によって顧客からのお金の大部分を付加価値として持っていくことに対し、巨大な消費者とそれを束ねる中国ECサイト側に力を持たせることによって交渉力を取り戻し、メーカー側の付加価値を取り込もうとする意図があるのだと思います(現実的には消費者に多額の支払いをさせているという負の側面が出ていますが・・・)。

 

定量的なデータを見ると足下で恐ろしいことになっていて、輸出に関しては前述した約16都市(未確認も含めた都市も含め)において2014年末時点で30億元(約600億円)で向け先は181カ国、輸入については上海などの7都市で約10億元(約200億円)で小包の数は411万件に上ったとのことです。また、大陸における「海淘族」は1,800人が確認されており、2018年までには3,560万人にまで増加し、年間消費金額は1兆元(20兆円!)となることが予測されています。越境ECを取り扱うプラットフォームは既に5,000社、参加する企業は20万社を越えています。直近では、3月19日時点で浙江省の杭州市、淘宝網を提供するアリババグループのお膝元が、国務院批准でモデル都市として認められたばかりです。非常に面白い市場です。

 

重慶の美人姉妹は海外ECで起業、現在の月商は1,000万円を越える
重慶の美人姉妹は海外ECで起業、現在の月商は1,000万円を越える(利益率は30%程度はあるはず)

 

参考までにどのような商品が売れているかについて、微信公式アカウント「日本窓」に掲載された「偽者が多く流通する6大製品群」という記事から一部引用します。

 

  • 花王製品(紙おむつ:メリーズ、ナプキン:スリムガード、アイマスク)
  • 幼児向け製品(明治粉ミルク:ステップ)
  • 化粧品郡(クラシエとKOSEのフェイスマスク、雪肌精、資生堂の洗顔フォーム、極潤、SK2フェイシャルトリートメントエッセンス、ALBION、ソンバーユの馬油、ATSUGIのストッキング)
  • バッグ類(イッセイミヤケ)
  • 健康食品(飲む生酵素)
  • 24金黄金マッサージスティック

 

日本人の自分からすればなんでこれが日本の名物として扱われているのか理解に苦しいものもありますが、だからこそ研究すれば面白い商売ができるのかもしれません。しかし、この辺りの情報、日本には本当に少ないのが現状です。それもそのはず、この手の情報は中国に中文ベースで転がっているのです。基本的に中国人の消費者向けのビジネスですから、日本にいる中国人がメインで手がけているビジネスであるため、日本語のソースは必要無いということです。

 

であれば無視していれば良いかというとそうでもありません。前述したように、また以前の記事でも書きましたが、今後中国の消費市場は中国株式会社の巨大な購買部門として強大な交渉力を持つようになります。日本のメーカーが中国で商売をしようとした際には、まず独占契約を結ぶことができて各地に展開力を持つ代理店と組むのが一般的でした。総代理店を抑えることで(それでも全く足りないとは思いますが)中国国内のマーケティングに関するマネジメントを比較的楽に行えてきた訳です。代理店側も日本のメーカーから卸すことで商圏を確保するというメリットがありました。しかし、その構図は今後崩れていきます。10億人近くを抱えるECプラットフォームと直接向き合う必要が出てきます

 

日本のメーカーは中国の消費者と直接ECで繋がることを想定したマーケティングのノウハウを実践的に獲得していく必要があります。前述したモデル都市の中で実験的に消費者に対するテストマーケティングを行うことを今から始めてみるのは面白い取り組みであると考えています。大事になってくるのは現地でのインポーティング業務はもちろんのこと、顧客対応業務です。365日24時間、wechatなどのコミュニケーションツールを使って質問や要望を寄せてくる消費者への対応をどうするか?一方で日本にいる留学生は海淘がやりたくても資格外活動で摘発のリスクがあり表立った動きがなくなりつつあります。この辺りに新しいビジネスのチャンスがありそうです。(一部出所:2014年中国六大城市跨境电商政策试点大盘点日本海淘假货泛滥的6大类产品

 

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