歴史的事件の中国6月4日、2015年の当日に生み出された3つの”+”とは?

bigdata

2015年6月4日は天安門事件が起こった日ですが、中国国内では奇しくも時を同じくして3つの”+”が誕生した日として人々の記憶に残ることになるかもしれません。2015年から盛んに使われているこの”+”の概念こそが、次の中国社会・経済を占う上で非常に重要な要素となるはずです。それでは、その3つの”+”とは何でしょうか?

 

新しい”+”その①”数据(データ)+”

2015年6月4日中国アリババグループが12億元(約240億円)を投じ、メディア大手である上海文広集団(SMG)グループ傘下の”第一財経”に出資しました。アリババのデータ処理技術を導入することにより第一財経が保有する膨大なデータを活用し新たなビジネスチャンスを開拓することを狙っています。当日の契約書締結式典にて董事局主席である馬雲(ジャック・マー)は「中国におけるブルームバーグ、ダウ・ジョーンズの誕生が期待できる」とコメントしています。また、その席上で新しい言葉”データ+”という概念が発表されました。

 

新しい”+”その②”計算(コンピューティング)+”

同日、中国のサーバー大手である浪潮集団(Inspur)が日本で言う税関に当たる”海関総局”との合作を行うことを発表しました。これにより浪潮集団はビッグデータセンターの建設を行うメインプレーヤーとなりました。中国税関である”海関”は”スマート海関”となることを目指しており、同時に浪潮集団は”コンピューティング+”という概念を提唱しており、その方向が合致したということを意味します。日本ではあまり知られていない会社ですが、2014年には中国農業部、教育部、国家税務総局、国家統計局など10を超える機関に対してクラウドコンピューティングを実現するためのハードウェアとサービスを提供しています。また、浪潮集団は201年に中国で始めてクラウドデータセンターのシステムを管理するためのオペレーティングシステムである”雲海OS”を開発したことでも知られています。

 

大元の”+”である③”互联网(インターネット)+”

Pony

2015年に腾讯(テンセント)の董事局主席である馬化腾(ポニー・マー)が提唱した概念です。2015年6月4日に、テンセントとアリババグループが出資するO2O配車サービスである”滴滴快的”が、北京汽車(自動車)と戦略的パートナーシップ契約にサインをしました。その中では、無人自動車、新エネルギー自動車、インターネットカー、企業公用車の4つの分野について協業を深めていくことが盛り込まれています。”インターネット+(自動車)”の概念を実現することを目的としていることは明らかです。

 

中国の”+”とは何を意味するのか?

2015年6月4日、天安門事件の日でもあり、弊社の設立記念日でもありますが、中国では3つの新しい”+”が生まれました。①データ+マスメディア、②コンピューティング+海関、③インターネット+自動車の3つの世界です。その中で、アリババが”データ+”を、浪潮集団が”コンピューティング+”というこれまで提唱されていなかった新しい造語を創り出しています。この”+”とは何でしょうか?大元は2015年の全人代と前後して、ポニー・マーが語った”インターネット+”の概念にあります。

テンセントのポニーマー(馬化腾)が語る微信(wechat)誕生時の葛藤と本質(前編)

詳しくは上記のリンク先にて、冷静に見えるポニー・マーがメラメラと闘志を燃やしながら語っています。簡単に言えば既存の産業に対するテクノロジーの融合です。テンセントは”インターネット”、アリババは”データ”、そしてハードウェア・ソリューションベンダーである浪潮集団は”コンピューティングパワー”というコア技術を既存の産業に導入することによって、新しい価値を生み出していこうということです。新しいテクノロジーを貪欲に活用して、価値を生み出すことにより、富を手にしていきたいという中国経済のシンプルかつダイナミックな部分がよく現れています。”+”には単純な足し算の意味だけでなく、プラスサムゲームという側面も含まれていると理解しています。

 

編集後記

さて、日本には”+”の時代は来るのでしょうか。個人的には中国ほどのシンプルかつダイナミックな動きはできないと考えています。一方で難しいですがチャンスも沢山ります。日本には様々なハードウェア、ソフトウェア資産が眠っています。しかし、それが流動化されていないが故に”+”の世界、プラスサムゲームのモードに移行できません。ハードウェアでは莫大な預貯金や空き家などの有形資産の固定化、ソフトウェアでは同じ時間に同じ場所で同じ服を来て、(例え優れた成果を出したとしても)同じ報酬をもらうことを”当たり前のこと”として捉える社会的な風潮が前提として存在していることが中国と異なる部分です。

 

こういうことを書くと怒られると思いますが、スマホが出れば試してみる、毎日同じ時間に出社するのをやめて別の道を歩いて新しい景色を見る、浅草もそうですが17時にお店を閉めるのであれば、せめて軒先だけでも若い人に貸して街の活気を取り戻す、津波が来るのであれば敢えて生まれ育った土地に固執せずに少しは慣れた安全な場所に移り住む、そういったことを人々が少しでも前向きなこととして捉えることができる世界に変えていくことが日本にリバース・イノベーションされた”+”の概念なのかなと考えています。ゼロサムゲームの考え方を抜けだして、少しでも明るい”+”の未来を築く、それがこれから生まれてくる子どもたちに対して僕らが残していくべきものごとなのではないでしょうか。

 

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