シャオミのMIUI開発トップが語る起業を成功させる10の秘訣

 

210年に小米(シャオミ)に参加後、MIUI(小米独自のAndroidベースのUI)の開発、設計、運用に携わり、今はオウンドメディアの責任者である黎万強が小米の強さを10個の要素から語っています。これは日本の企業、大企業、ベンチャーに関わらずとても参考になる内容になっています。是非是非、ご一読下さい。

 

小米CEOの雷軍(レイジュン)
小米CEOの雷軍(レイジュン)

 

1. チーム第一、製品はその次

起業を成功させるために最も重要な要素は何でしょうか?

最も重要なのはチーム。製品はその次です。良いチームがあれば良い製品・サービスを生み出すことはできます。では私たちが起業の第一歩を踏み出す際に、面接で人を選ぶことを悩むことがあると思います。ではその時にどうすれば良いでしょうか?

 

雷軍(レイジュン)と私たちファウンダーチームは順番で面接に望みました。長い時で10時間くらい。小米(シャオミ)のハードウェアの構造を設計したエンジニアの一次面接はレイジュンのオフィスで行われました。13時に始まった面談は4時間に渡ったところで私は我慢できずにトイレに行きましたが、戻ってきたところでレイジュンは私に、既に食事の予約をとったことを伝えられました。食事をしながら話は続き、終わったのは結局23時。その時点で彼は結局小米に入ることを決めていました。その後、彼は半ばジョーク気味に、「その時に興奮していたから入ると答えたんじゃないんです。もう体力が残っていなかったんです(笑)。」

 

2. 起業家にとって最も重要な仕事は良い人を見つけること

小米の設立一年目のレイジュンはほとんどの時間を人探しに使っていました!特にハードウェア系の人員を探すのに時間を使っていました。現在ハードウェア事業を掌握していて、共同ファウンダーの一人でもある周光平博士と最初に面談をする前に、私たちは2ヶ月以上をかけて数人をチョイスして話をしてきましたが、進展は非常に遅かった。また、ある人は、いわゆる”ブローカー”を連れて来て私たちと条件面での交渉をしたりしました。ストックオプションだけでなく、大企業の福利厚生よりも良い条件が必要とのことでした。時には明け方まで話をすることもあったレイジュン、林斌(共同ファウンダー、総裁)と私はもうクタクタでした。

 

3. パートナーが一枚岩の中、各自の判断で動く

起業というのはハイリスクな選択です。皆さんも成功した企業の背後に大きなドラマがあることをご存知でしょう。多くの成功企業は、九死に一生をくぐり抜けてきているのです。アリババの馬雲(ジャック・マー)ですら1995年に中国イエローページを創って失敗しています。その後、1997年アリババの原型とも言えるインターネット中国商品交易市場を創設しますがこれもまた失敗。今日のアリババ帝国について、皆さんは淘宝網やAlipay、Tモールなどのスター製品・サービスに目が行きがちですが、最も価値があるのはその背後にいるチームです。ジャック・マーとその他合わせた18人の創業者たちのことです。

 

小米の創業者。5人の留学組、3人の田舎者、8人の老人たち、平均年齢は43歳
小米の創業者。5人の留学組、3人の田舎者、8人の老人たち、平均年齢は43歳

 

社長であるということはチーム編成に責任を持つということです。小米のパートナーたちは各々が管理すべき組織を持っています。特に何もやることも無いのであれば彼がここにいる意味はないですし、彼に管理者をやらせる意味もありません。皆、自分の事情の中で自分の言葉に責任を持って動くことで、意思決定は非常に速くなっています。

 

4. できる人に仕事を任せる:頼りになるエンジニアのプロジェクトは100個

従業員を募集するやり方として私たちが採用しているのは最もできる人を雇うということです。私はR&Dというものは常に創造性を働かせることが必要だと思っていて、仮にスタッフがリラックスできていなければ、もしくは十分に優秀でなければ、良い仕事はできないと思っています。だからこそ、最も「できる」人を採用します。優れたエンジニアのプロジェクトは10個ではありません、100個です。ですから、エンジニアを採用する際には、皆さん本当に優秀な人を血眼で探して下さい。決して、大学生のインターンでお茶を濁すということをしてはなりません。本当に仕事ができる優秀な人は、組織をドライブする力が非常に強いものです。彼の好きなことを、彼の心の赴くままにすることによって、彼の才能が最大限に発揮され、彼自身を、そして周囲の人間を動かすことができるのです。

 

スティーブ・ジョブスが言った次の一言は非常に重いものがあります。「私は以前に才能のある人間は2人の平凡なスタッフを扱うことができると思ってきましたが、現在は50名を扱うことができると認識しました。私のだいたい1/4の時間は人材を募集することに費やしています。」聞くところによれば、ジョブスは一生涯で約5,000人のスタッフ採用に参加し、一流のエンジニアチームを作りました。エンジニアとマネージャーで組成されるその組織は「A級グループ」と呼ばれ、ジョブスが指揮する最新で最先端の業務にずっと携わったそうです。

 

5. 最適な人を探す:起業家精神を持った人を探す

小米の創設から4年が経ち、時価総額は100億ドルを超え、業界では小米がスター企業であると褒め称えます。しかし、このような状況下で私たちがスタッフを募集することは非常に精神力を使います。なぜなら、私たちは専門性が高く、かつ私たちの会社に合った人材を探す必要があるからです。合った人材とは?起業家精神を持ち、あらゆることに対して好奇心を持っている人間のことです。起業家精神を持っているスタッフは自らを燃焼させることができ、積極性と能動性を兼ね備えています。そういう人間であれば、人材管理制度や細かいKPI管理などは必要無いのです。

 

6. スタッフに如何に気持ち良く働いてもらうか

チームをこぶするには、一文字「爽(気持ちいい)」で大丈夫です。スタッフが気持ち良ければそれで良いのです。決まり事をたくさん作る必要はありません。そうすることで変な硬さを生んでしまいます。このような小米のやり方はあなたに合っているかもしれないし、合っていないかもしれません。本質は、私たち企業のマネジメントが高い立ち位置から少し降りて行き、スタッフたちと一緒に仕事をして、彼らがいったい何に気持ちよさを感じるのかを聞くことです。それによって参加している感覚を引き出し、達成感を導くことができれば、十分な激励と言えるでしょう。スタッフが気持ち良く仕事をすることができれば、自然に彼らは燃焼するのです。

 

レイジュンが言った言葉の中でとても印象深いのが王陽明(明時代の儒学者、陽明学の創始者)による「人欲を去って天理を存するを学ぶ」という言葉です。スタッフに気持よく働いてもらうこと、もし皆さんがそれを実行しようとするならば、どの企業でも分かることがあります。それは、皆さんが与えることができるかという問題です。レイジュンが小米を設立した当時、心理状態はとても穏やかでオープンでした。彼は既に20年間も企業を経営し、早い内から成功させており、有名でもありましたし、お金もありました。小米を設立する前の彼は、中国でも最も有名なエンジェル投資家の一人でした。信じるかどうかは皆さんにお任せしますが、小米を起業したのは、彼の夢だったのです。彼はものすごく偉大な会社を作り、偉大なことを成し遂げたかったのです。そのため当時、パートナーや私たちコアスタッフに至るまで、十分な利益上の保証と権限委譲があり、尊重してくれたのです。

 

私は色々な会社を見てきましたが、彼がストックオプションを渡したタイミングは、上々が間近に迫ったタイミングであり、突然、そのオプションの数を教えてくれたのです。現在、人材獲得競争は熾烈です。十分な利益による動機づけと、兄弟のような感情的な触れ合いがなければ、勝ち残ることは難しいのです。

 

7.  チームの解放:KPIを忘れ、フラット化する

小米の内部ではKPIを語ることを忘れてしましました。私たちにはKPIはありません。この背景には、顧客の反応をドライバーとして開発を行い、素早く対応をするという考え方があります。例えば、MIUI(小米のAndroid由来の独自UI)の開発については、MIUIのデザイナーやエンジニアの全員が議論を行っているのは、週次で送られてくるユーザーの意見についてのものです。ユーザーの皆が認める設計が良い設計なのです。このサイクルを回していきます。皆さんが真摯にユーザーと向き合うことで、ユーザーも同じように皆さんと接してくれるのです。遊び心のあるチームは、自らの製品やサービスを愛していますし、何よりユーザーを愛しています。これこそが解放されたチームの核心です。

 

”小米の家”のスタッフの女の子
”小米の家”のスタッフの女の子

 

8. スタッフをファンにし、ファンをスタッフにする

ファン文化では、まずスタッフが自分のブランドのファンになる必要があります。全てのスタッフは小米に加入する際に、日常的に仕事で使用する端末を与えられます。次に、スタッフの友達にユーザーになってもらうようにします。全てのスタッフは、毎月数個単位でのF番号(Friend Code:小米の直販チャネルで優先的に商品を購入する権利)を与えています。スタッフはこれを友人に送ることができます。

 

自らの製品・サービスを使用することは、多くの伝統的企業にとって「ウサギは巣の周りの草を食べない」という状態でした。しかし、小米では「自分の親も子供も自社ブランド製品を使ってもらう」 というジョークがあるほどです。小米の内部ではスタッフにファンになってもらうことだけではありません、更に尊ばれているのはファンにスタッフになってもらうことです。小米のニューメディアの運営チームメンバーの多くはファンの中から招待をされて加入した方がたくさんいらっしゃいます。

 

”小米の家(小米のサービスセンター)”の現場で体験をしたユーザーで、小米で働いてみたいと申請をしてくる方は少なくありません。彼・彼女たちは、小米のサービスが他のお店とは異なり、友達のように接してくれるのでとてもリラックスできると言ってくれます。”小米の家”杭州店の店長は元々は小米のかなりディープなファンで”白板啸西風”というユーザーIDを持っていた方でした。小米に加入後すぐに店長となりました。

 

9. 人は制度よりも重要:スタッフが仕事を自ら愛する環境づくり

伝統的サービス業では制度をことさら強調しますが、小米のカスタマーサービスは制度よりも人が重要であると考えています。私たちのカスタマーサービスの主管ですが、彼女は10数年の間カスタマーサービスの文やで仕事をしてきており、経験は非常に豊富でした。2012年に小米の業務は加速的に拡大し、ユーザー数が爆発した結果、カスタマーサービスにかかるプレッシャーはとてつもないものとなりました。彼女は私たちのチームに豊富な経験を持ってきてくれました。しかし、興味深かったのは、彼女が初めて私にレポーティングをした際のことで、彼女が入ってくるや否や私は驚きました。彼女はとても分厚い報告書を携えていたのです。そうです、彼女はとっても真面目に小米のユーザーに関する数値を分析し、タスクスケジュールを作り、最後には小米の業務の中長期予測、未来の発展計画まで作ってきたのです。

 

午後の時間全てを使っても読むことはできそうにありません。そこで彼女に言いました。「カスタマーサービスに関してはあなたが専門家ですが、私はそうではありません。多くの図表や分析を行って頂いたようですが、私は見ても良く分からないのです。専門家であるあなたが分かっていればそれで構いません。僕らにはこんなに多くのKPIは本当に必要なのかな?私はあなたにひとつだけ指標を与えることにします。カスタマーサービスのチームメンバーの仲間たちが心から顧客を愛してサービスにあたっているかどうか?です。」

 

”小米の家”の内装
”小米の家”の内装

 

10. 人間は環境の子供:環境で人を創りましょう

私たちは皆、荒れ果てた荒野では痰を吐くでしょう。しかし、素晴らしいカーペットが引かれたホテルではそんなことはしないはずです。これは環境が人に与える影響の例えです。私たちのサービスチームスタッフが”小米の家”で仕事をする時、毎日交換される青春の力に満ち溢れた小米Tシャツとジャケットを羽織っていれば 、自然とお客さんに対して積極的な笑顔がこぼれ出ていくはずです。一般的に、アフターサービスセンターで働く人々は無表情で急いでいて、顧客も焦っている中で、スタッフもどうしようもないという雰囲気だと思いますが、”小米の家”ではそんな光景は見られません。制度の厳格さとは全く関係がありません。制度によって提供される”サービス”は偽者です。環境から自発的に行われるサービスこそが本物なのです。

 

”小米の家”のストックヤードはいつも綺麗にしておく必要があります。ここはお客さんには開放していませんが、スタッフが毎日通る場所です。綺麗な棚、綺麗な収納ボックス、それに植物とコーヒーメーカーなどが整然として並んでいる、そんなヤードであれば、”小米の家”のスタッフは愉快な気持ちで仕事ができるのです。

 

スタッフの気持ちを愉快にさせることは単に福利厚生を与えれば良いという簡単なものではありません。スタッフが仕事をする空間が綺麗で気持ち良いもので、着替えるための専用の部屋があり、高品質なコーヒーメーカーがあって、ヤードも整然としていることで、スタッフたちは、自分たちの仕事に品質、品位が求められているということを心から理解するのです。

 

私たちはスタッフに清潔な環境を提供しています。このような環境で、人は”美”の存在を体験することができるのです。更に、このような環境を続けていくことで、彼・彼女たちの習慣も自然と養われていくのです。結果として、”小米の家”のスタッフが仕事をする際、ストックヤードを綺麗に整然としようという行動が生み出されるのです。”小米の家”ではスタッフはシフトを替わる際に、出退勤カードを並べ直し、椅子を片付けてから出て行きます。

 

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